身体障害者手帳の等級とは?1級,2級,3級などの違いを解説




 

身体障害者手帳には1級、2級、3級などの等級がありますが、その違いを知っていますか?

 

自分がどの等級なのかはもちろん把握しておくべきですが、なぜその等級になったのかも合わせて覚えておきたいですよね。

また、等級によって受けられるサービスや割引等にも違いがあります。

 

そこで今回は、身体障害者手帳の等級とその違いについて詳しくまとめました。

等級によって受けられるサービスの違いや、等級変更についても触れていますので、是非ご覧下さい。

 

 

身体障害手帳の等級とは

 

身体障害者手帳の交付を行う際、各都道府県の専門機関が審査をし、障害の重さによって1級〜6級までの等級に分けられて手帳に記載されます。

1級が最上位の等級になり一番重い障害で、数字が増えるごとに障害の程度は軽くなります。

 

また、等級によって受けられるサービスが違いますので、当事者は自分の等級をしっかりと把握しておくことが必要です。

 

障害等級には7級まで存在しますが、7級の場合、身体障害者手帳は発行されません。

 

 

等級の判定基準

 

障害程度等級一覧表

 

視覚障害

1級 視力の良い方の眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常のある者については、矯正視力について測ったもの。 以下同じ。)が0.01以下のもの
2級 1 視力の良い方の眼の視力が0.02以上0.03以下のもの
2 視力の良い方の眼の視力が0.04かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
3 周辺視野角度(Ⅰ /4視標による。 以下同じ。)の総和が左右眼それぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度(Ⅰ /2 視標による。 以下同じ。)が28度以下のもの
4 両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
3級 1 視力の良い方の眼の視力が0.04以上0.07以下のもの(2級の2に該当す るものを除く。)
2 視力の良い方の眼の視力が0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
3 周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度が56度以下のもの
4 両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
4級 1 視力の良い方の眼の視力が0.08以上0.1以下のもの(3級の2に該当するものを除く。)
2 周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ80度以下のもの
3 両眼開放視認点数が70点以下のもの
5級 1 視力の良い方の眼の視力が0.2かつ 他方の眼の視力が 0.02以下のもの
2 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの
3 両眼中心視野角度が56度以下のもの
4 両眼開放視認点数が70点を超えかつ100点以下のもの
5 両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
6級 視力の良い方の眼の視力が0.3以上0.6 以下かつ他方の眼の視力が0.02以下のもの
7級

 

聴覚障害

1級
2級 両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上のもの(両耳全ろう)
3級 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの(耳介に接しなければ大声語を理解し得ないもの)
4級 1 両耳の聴力レベルが80デシベル以上のもの(耳介に接しなければ話声語を理解し得ないもの)
2 両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50パーセント以下のもの
5級
6級 1 両耳の聴力レベルが70デシベル以 上のもの(40センチメートル以上の距離で発声された会話 語を理解し得ないもの)
2 一側耳の聴力レベルが90デシベル以上,他側耳の聴力レベルが50デシベル以上のもの
7級

 

平衡機能障害

1級
2級
3級 平衡機能の極めて著しい障害
4級
5級 平衡機能の著しい障害
6級
7級

 

音声機能、言語機能、そしゃく機能の障害

1級
2級
3級 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の喪失
4級 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の著しい障害
5級
6級
7級

 

上肢不自由障害

1級 1 両上肢の機能を全廃したもの
2 両上肢を手関節以上で欠くもの
2級 1 両上肢の機能の著しい障害
2 両上肢のすべての指を欠くもの
3 一上肢を上腕の2分の1以上で欠くもの
4 一上肢の機能を全廃したもの
3級 1 両上肢のおや指及びひとさし指を 欠くもの
2 両上肢のおや指及びひとさし指の機能を全廃したもの
3 一上肢の機能の著しい障害
4 一上肢のすべての指を欠くもの
5 一上肢のすべての指の機能を全廃したもの
4級 1 両上肢のおや指を欠くもの
2 両上肢のおや指の機能を全廃したもの
3 一上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうち、いずれか一関節の機能を全廃したもの
4 一上肢のおや指及びひとさし指を欠くもの
5 一上肢のおや指及びひとさし指の機能を全廃したもの
6 おや指又はひとさし指を含めて一上肢の三指を欠くもの
7 おや指又はひとさし指を含めて一上肢の三指の機能を全廃したもの
8 おや指又はひとさし指を含めて一上肢の四指の機能の著しい障害
5級 1 両上肢のおや指の機能の著しい障害
2 一上肢の肩関 節、肘関節又は手関節のうち、いずれか一関節の機能の著しい障害
3 一上肢のおや指を欠くもの
4 一上肢のおや指の機能を全廃したもの
5 一上肢のおや指及びひとさし指の機能の著しい障害
6 おや指又はひとさし指を含めて一上肢の三指の機能の著しい障害
6級 1 一上肢のおや指の機能の著しい障害
2 ひとさし指を含めて一上肢の二指を欠くもの
3 ひとさし指を含めて一上肢の二指の機能を全廃したもの
7級 1 一上肢の機能の軽度の障害
2 一上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうち、いずれか一関節の機 能の軽度の障害
3 一上肢の手指の機能の軽度の障害
4 ひとさし指を含めて一上肢の二 指の機能の著しい障害
5 一上肢のなか 指、くすり指及び小指を欠くもの
6 一上肢のなか 指、くすり指及び小指の機能を全廃したもの

 

下肢不自由障害

1級 1 両下肢の機能を全廃したもの
2 両下肢を大腿の2分の1以上で欠くもの
2級 1 両下肢の機能の著しい障害
2 両下肢を下腿の2分の1以上で欠くもの
3級 1 両下肢をシヨパー関節以上で欠くもの
2 一下肢を大腿の2分の1以上で欠くもの
3 一下肢の機能を全廃したもの
4級 1 両下肢のすべての指を欠くもの
2 両下肢のすべての指の機能を全廃したもの
3 一下肢を下腿の2分の1以上で欠くもの
4 一下肢の機能の著しい障害
5 一下肢の股関節又は膝関節の機能を全廃したもの
6 一下肢が健側に比して10センチメートル以上又は健側の長さの10分の1以上短いもの
5級 1 一下肢の股関節又は膝関節の機能の著しい障害
2 一下肢の足関節の機能を全廃したもの
3 一下肢が健側に比して5センチメー トル以上又は健側の長さの15分の1以上短いもの
6級 1 一下肢をリスフラン関節以上で欠くもの
2 一下肢の足関節の機能の著しい障害
7級 1 両下肢のすべての指の機能の著しい障害
2 一下肢の機能の軽度の障害
3 一下肢の股関節、膝関節又は足関節のうち、いずれか一関節の機能の軽度の障害
4 一下肢のすべての指を欠くもの
5 一下肢のすべての指の機能を全廃したもの
6 一下肢が健側に比して3センチメートル以上又は健側の長さの20分の1以上短いもの

 

体感機能障害

1級 体幹の機能障害により坐っていることができないもの
2級 1 体幹の機能障害により坐位又は起立位を保つことが困難なもの
2 体幹の機能障害により立ち上がることが困難なもの
3級 体幹の機能障害により歩行が困難なもの
4級
5級 体幹の機能の著しい障害
6級
7級

 

乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害

上肢機能
1級 不随意運動・失調等により上肢を使用する日常生活動作がほとんど不可能なもの
2級 不随意運動・失調等により上肢を使用する日常生活動作が極度に制限されるもの
3級 不随意運動・失調等により上肢を使用する日常生活動作が著しく制限されるもの
4級 不随意運動・失調等による上肢の機能障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
5級 不随意運動・失調等による上肢の機能障害により社会での日常生活活動に支障のあるもの
6級 不随意運動・失調等により上肢の機能の劣るもの
7級 上肢に不随意運動・失調等を有するもの

 

移動機能
1級 不随意運動・失調等により歩行が不可能なもの
2級 不随意運動・失調等により歩行が極度に制限されるもの
3級 不随意運動・失調等により歩行が家庭内での日常生活活動に制限されるもの
4級 不随意運動・失調等により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
5級 不随意運動・失調等により社会での日常生活活動に支障のあるもの
6級 不随意運動・失調等により移動機能の劣るもの
7級 下肢に不随意運動・失調等を有するもの

 

心臓機能障害

1級 心臓の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの
2級
3級 心臓の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの
4級 心臓の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
5級
6級
7級

 

じん臓機能障害

1級 じん臓の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの
2級
3級 じん臓の機能の障害より家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの
4級 じん臓の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
5級
6級
7級

 

呼吸器機能障害

1級 呼吸器の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの
2級
3級 呼吸器の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの
4級 呼吸器の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
5級
6級
7級

 

ぼうこう又は直腸の機能障害

1級 ぼうこう又は直腸の機能 の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの
2級
3級 ぼうこう又は直腸の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの
4級 ぼうこう又は直腸の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
5級
6級
7級

 

小腸機能障害

1級 小腸の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの
2級
3級 小腸の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの
4級 小腸の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
5級
6級
7級

 

ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害

1級 ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害により日常生活がほとんど不可能なもの
2級 ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害により日常生活が極度に制限されるもの
3級 ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害により日常生活が著しく制限されるもの(社会での日常生活活動が著しく制限されるものを除く。)
4級 ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
5級
6級
7級

 

肝臓機能障害

1級 肝臓の機能の障害により日常生活活動がほとんど不可能なもの
2級 肝臓の機能の障害により日常生活活動が極度に制限されるもの
3級 肝臓の機能の障害により日常生活活動が著しく制限されるもの(社会での日常生活活動が著しく制限されるものを除く。)
4級 肝臓の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
5級
6級
7級

 

参考:厚生労働省 身体障害者障害程度等級表

 

 

重複

 

同一の等級で二つ重複する障害がある場合は、1級うえの級となります。

ただし、二つの重複する障害が上記の表中に指定せられているものは、該当等級です。

 

肢体不自由においては、7級に該当する障害が2つ以上重複する場合、6級になります。

 

また、異なる等級で2つ以上重複する障害がある場合は、障害の程度を勘案して該当等級より上位の等級になることがあります。

 

 

等級によって受けられるサービスの違い

 

障害者手帳を所持していることによって様々なメリットがありますが、等級によって受けられる割引やサービスには違いがあります。

 

例えば、障害者手帳には障害等級の1〜6級の区分をさらに大きく2つに分けた、1種2種という種別があります。

これは主に、JR運賃の割引を利用する際に必要になり、それぞれどちらに所属しているかによって割引が適用される条件が違います。

 

 

1種、2種の違いとは?

 

障害者手帳には等級の他に、1種、2種という種別があります。

これについては別の記事で詳しく解説しているので、そちらの記事をご覧ください。▼

障害者手帳の第1種と第2種の違いをわかりやすくまとめました

2019.06.26

 

 

等級によるその他のサービスの違い

 

JR運賃以外でも交通機関の割引は障害の等級による条件がある場合があります。

 

また、交通機関以外でも等級の上位に当たる障害者は「特別障害者」や「重度障害者」に区分され、手厚く割引や控除、非課税を受けられる場合があります。

  • 医療費の助成
  • 所得税や住民税などの税制面での控除や非課税
  • NHK受信料の割引 など

 

地域によって異なるものもありますので、詳しくはお住いの地域の障害福祉課にお問い合わせください。

 

また障害者割引と手帳で受けられるサービスに関してはこちらの記事をご覧ください。▼

障害者手帳を所持するメリットとデメリットを詳しく解説

2020.04.12

障害者割引一覧|障害者手帳をもっと活用しよう!【まとめ】

2020.08.03

 

 

ちなみに、障害年金については手帳の等級に関係なく、独自の審査によって判定されます。

 

 

等級変更について

 

再認定(再審査)とは

 

障害の程度は、高齢化、病気の再発、手術などによって変化します。

そこで以下の場合には再度審査を行い、適切であるか等級の見直しをする必要があります。

 

再認定の条件

障害の程度が明らかに手帳に記載されているものと異なる場合。

  • 発育・発達による変化
  • 進行性の病気による変化
  • 『更生医療』を行ったことによる変化
  • 障害の変化が予測される

 

 

等級変更の手続き

 

等級変更を申請するには新規申請の時と同様に、医師の診断書・意見書を提出します。

この意見書・診断書は、最新の状態に基づき記載されたものである必要があります。

また、変更された等級の手帳が届くまでには数ヶ月かかりますので、それまでは現在所持している手帳を使用することになります。

 

 

不服申し立て

 

障害等級について審査された結果に不満がある場合は、不服申し立てを行い、再審査を求めることができます。

詳しくは市町村窓口にお問い合わせください。

 

 

最後に

 

身体障害者手帳は等級によって受けられるサービスに違いがあるので、自分の等級はしっかりと把握しておくべきです。

また、手帳の等級と明らかに現在の状態が異なる場合は、再審査を行い等級が変更になる場合もありますので、地域の窓口に問い合わせてみましょう。

 

 




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