健常者にはわかりにくい車椅子ユーザーのバリア10選




車椅子ユーザーはいろいろなことで不便を感じているんですが、それってなかなか健常者の人には分かりづらかったりすると思うんです。

でも実際にモノやサービスを作ったりするほとんどの人は健常者なので、自分ではうまくできたと思っていても実は車椅子ユーザーやマイノリティーの人たちには使いづらいものだったりします。

でも誰が使っても利用しやすいものが結局いろんな人に受け入れられて売れていったり、人気が出て行くと思うんです。それがユニバーサルデザインの観点ですね。

そこで今回はそんなユニバーサルデザインの参考にしていただきたく、当事者目線で車椅子ユーザーのバリアをまとめて紹介したいと思います。

 

1 歩道の傾斜

気づいていないかと思いますが歩道には水はけを良くするため緩やかな傾斜がかかっています。

実はその健常者には緩やかな傾斜でも車椅子ユーザーにとっては漕ぐのに余計な力を使って体力を使うので障害になっています。

それにほとんどの場合その傾斜は車道に降りて行っているのでとても危険だと思いませんか?

車椅子もそうですが、ベビーカーにもその傾斜は危険です。

目を離していた隙にベビーカーが車道に向かっていったら…

 

2 車道から歩道に上がる段差

これは想像しにくいと思いますが、横断歩道を渡って車道から歩道に上がるところですね。

スロープはかかっているところがほとんどなんですが、そのスロープの前に少しの段差があってからスロープが始まっているんです。

このスロープの前の段差が問題で、実は車椅子の前輪はとても小さくて少しの段差でも引っかかってしまうんです

それで段差があるとどうするかというと、まずはじめに前輪を持ち上げて段差の上に乗せてからぐいっと後輪に力を加えて全身を段差の上にあげるんです。

そこで前輪を持ち上げたところが平面じゃなくてスロープだったら、体重が後ろに行くのでかなりの力が必要なのが想像できますよね?

だからもし少しの段差が必要なら、段差の上は平面にする。そしてスロープにするのなら最後までスロープにするというのを徹底してほしいなと思います。

 

3 温泉

体の不自由な人にとって温泉ってやっぱり敬遠しがちです。

私は中途障害なので健常者だった頃は温泉も好きでよくいっていました。

だけど障害を持って車椅子になってからは、もちろん温泉施設によくある座敷の部屋は利用しにくいですし、だいたい建物は古風な感じなのでバリアフリーには対応していないところが多いです。

それに大浴場に車椅子で入っていくわけにもいかないですしね。

中途障害の人には昔は好きだったけど障害者になってできなくなった事がいっぱいあって、温泉もその一つだと思います。

 

4 駐車場

車を運転している車椅子ユーザーにとって問題が多いのが駐車場

  • 駐車券が取りづらい
  • 車椅子用の駐車スペースがない
  • 車椅子用の駐車スペースはあるけど誰かに使われている
  • タイヤをロックするための器具が邪魔で車から車椅子の移乗ができない
  • 料金を支払う機会が遠くて難しい など

有料駐車場はほとんど車椅子用のスペースなど確保してくれていないので、止めるのにかなり苦労します。

車椅子ユーザは車から車椅子に移乗するためにドアをめいいっぱい開かなくてはいけないので車の右側にそれなりのスペースが必要なんです。

ですから車椅子用の駐車スペースがない場合は端や角の駐車スペースを探すしかないんですね。

それも空いてない場合は諦めます。

あと駐車券を取ったり支払いをしたりする機会が備え付けてある駐車場がありますが、あれって健常者でも使いにくいと思いませんか?きっちり近づかないと取れないし、近づきすぎてこっすっちゃたり。

個人的にはETCのようなシステムなら駐車券も要らず支払いもスムーズなのでいいなと思います。

そのほか車椅子用の駐車スペースの問題は過去に記事にしているのでそちらも参考にしていただきたいです。

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5 マットやカーペット

マットの上を車椅子で上るとブレーキがかかって全然前に進みませんし、カーペットはタイヤの転がりが悪くて進むのにかなりの力が必要です。

例えば施設のの入り口とかにはマットがありますし、屋内でカーペットが全体にひかれているところがありますよね。

買い物で何時間かブラブラしていると帰る頃には腕がパンパンになってしまいます。

 

6 テーブルの高さ

ここからは主に飲食店でのバリアで、まず車椅子ユーザーが気にするのがテーブルの高さ

ソファ用のような低いテーブルではもちろん車椅子の座面よりもテーブルが低いので使いにくいですし、かといってハイテーブルでも手が届きません。

理想的なテーブルの高さは座った時のおへそくらいの高さで70〜80cm。

またテーブルの形状でも使いにくいのがあって、例えばテーブルの下にバッグを収納したりするところがあるために、膝をテーブルの下に深くまで入れることができないもの。

そうなると車椅子とテーブルまでの距離が遠くなるので食事がしにくいんです。

収納の機能は便利なのかもしれませんが実は健常者にとってもそのようなつくりをしたテーブルは使いにくいかもしれませんね。

最近の飲食店では回転率を多くしてお客さんを多く入れたいためにハイテーブルのお店が多くて、車椅子ではそういったお店は利用できません。

立ち飲みバーとか…

無理無理。

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2017.12.22

 

7 ボックス席

最近の大手飲食店で多いのがこのボックス席

ソファが席にくっついていて簡単には外せないので、車椅子の人は車椅子から席に移乗しなければいけません。

体が不自由だけど状態が良くて結構動ける人は移乗して食事をするかもしれませんが、ほとんどの車椅子ユーザーは車椅子に座ったままでテーブルに付いて食事をしたいと思っています

そうなるとボックス席は利用できませんね。

だけどこのボックス席ってすごく多いですよね?

それ以外に普通のテーブル席が用意されていればいいですが、無ければそこのお店は諦めるしかないです。

健常者にはくつろげるボックス席でも車椅子ユーザーには利用しにくいものです。

 

8 座敷

よく居酒屋で見る座敷

前述しましたが、ほとんどの車椅子ユーザーは車椅子に座ったままでテーブルについて食事をしたいので、座敷は完全にアウト

健常者にとっては居心地がいいかもしれませんが、車椅子ユーザーの事を考えた作りにはなっていません。

全ての席を座敷にしないで、何席か普通のテーブル席を用意してもらいたいです。

効率化や利益を追求していくと車椅子ユーザーやマイノリティーの人たちがどんどん利用しにくいモノ、サービスが生まれていきます。

 

9 靴を脱いで系

健常者には普通の事ですが自分の家には靴を脱いで入りますよね?

それが車椅子ユーザーならどうでしょうか?

もちろん車椅子ユーザーは体が不自由で車椅子に乗っているので家の中でも外でも車椅子です。

ですから自分の家ではいいですが他の家に招待された時は困ってしまいます。タイヤ汚いけどいいですか?ってなっちゃいます。

また飲食店でもたまに靴を脱いで入らないといけないところがあると困ってしまいますね。

となると、座敷もダメだし、靴を脱いで家に上がる日本の文化は車椅子ユーザーにとっては向いてないようですね…欧米スタイルの方が向いてるのかもしれません。

 

10 自分で席に運ばなきゃいけない系

これも最近の飲食店でよく見るスタイル。スターバックスとかもそうですよね。

カウンターで注文して会計をして、商品ができたら受け取って自分で好きな席に運ぶスタイル。

車椅子だと車椅子を漕ぐために両手を使ってしまうので何かを持ったまま移動する事は難しいんです。

だから私はそうゆうスタイルのお店だと、「席まで持ってきていただけますか?」とお願いします。

ほとんどのお店は対応してくれますが、混んでいる時間帯では頼みづらいというのは正直なところです。

なので私の場合、1人でいる時はそういうお店は敬遠します。

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まとめ

これまで10個の例を出しましたがこれ以外にも車椅子ユーザーにとって、体の不自由な人にとって日常に様々なバリアが存在し、健常者には気づきにくいものです。

また、車椅子ユーザーや体が不自由な人以外にも世の中には様々な人種がいます。

車椅子ユーザー、高齢者、子供、ベビーカーを連れたお母さん、妊婦さん、外国人(外国人も文化は様々)、LGBT、、、

そういったマイノリティーの人々は現在の環境に生きづらさを感じています。

ですから、モノやサービスを作っていく上で誰でも使いやすくデザインするユニバーサルデザインの観点はとても重要だと思います。

そして、健常者の固定観念ではなく、当事者の生の意見が必要ですし、そういった人たちが自分の意見を公表し情報を発信することが求められていると思います。

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