障害者の法定雇用率とは?計算方法から罰則まで詳しく解説




 

障害者の法定雇用率をしっかりと把握していますか?

 

今回は障害者雇用に関するこの「法定雇用率」について、その計算方法罰則についても詳しくまとめました。

対象になる障害当事者や、企業の方は是非目を通してみてください。

 

 

法定雇用率とは?

 

簡単に概要

 

法定雇用率とは簡単に説明すると、民間企業や国、地方自治体などに対し義務づけられた、障害者雇用の最低比率のことです。

全従業員数に占める障害者数の割合で障害者雇用率を算出し、それが法定雇用率を下回らないようにします。

 

法定雇用率は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」障害者雇用促進法の中で、障害者雇用率制度として定められています。

なお、法定雇用率は5年ごとに見直すことになっています。

 

 

法定雇用率を定めている目的とは?

 

法定雇用率は障害者の雇用の安定を図ることを目的とし、障害者雇用促進法の中で定められています。

障害者雇用促進法では、法定雇用率に関わる雇用義務制度を含め、主に3つの取り組みが定められています。

 

 

障害者雇用促進法とは?

 

正式名称は「障害者の雇用の促進等に関する法律」。

障害者雇用促進法では主に「職業リハビリテーションの推進」、「雇用義務制度」、「差別の禁止と合理的配慮の提供義務」の3つの具体的な取り組みを行い、障害者の雇用の安定を目的としています。

 

詳しくはこちらの記事をご覧ください。▼

障害者雇用促進法とは?法定雇用率や罰則など簡単にまとめました

2019.12.12

 

 

対象となる障害者とは?

 

法定雇用率の対象になる障害者は障害者手帳を所持している方のみで、心身機能の障害があるが手帳を所持していない方は対象になりません。

具体的には、身体障害者手帳を持つ人、療育手帳を持つ人、精神障害者保健福祉手帳を持つ人が対象です。

また、精神障害者はこれまで対象外となっていましたが、2018年度(平成30年4月1日)から対象に加わっています。

 

 

対象となる企業とは?

 

民間企業の現在の法定雇用率は2.2%です。(2019年現在)

つまり、45.5人以上雇用している企業は1人以上障害者を雇用するよう義務付けられています。

また、同時に雇用状況をハローワークに報告する義務も発生します。

 

法定雇用率は法人ごとに適用され、原則として親会社と子会社の障害者数を通算することはできません。

ただし一定の要件を満たす場合、複数の事業主間での実雇用率の通算ができる特例子会社制度というものがあります。

 

 

特例子会社制度とは?

 

事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できることとしています。

また、特例子会社を持つ親会社については、関係する子会社も含め、企業グループによる実雇用率の算定が可能です。

 

 

現在の法定雇用率とこれまでの推移

 

現在の法定雇用率

事業主区分 法定雇用率
民間企業 2.2%
国、地方公共団体、特殊法人等 2.5%
都道府県等の教育委員会 2.4%

 

以前の法定雇用率(平成30年4月1日以前)

事業主区分 法定雇用率
民間企業 2.0%
国、地方公共団体、特殊法人等 2.3%
都道府県等の教育委員会 2.2%

 

現在の法定雇用率は2018年(平成30年)4月1日から適用されています。

 

また、平成30年4月から3年を経過する日より前(令和3年4月まで)に、さらに0.1%引き上げられ、民間企業の法定雇用率は2.3%になります。(国、地方公共団体などの機関も同様に0.1%引上げになります)

具体的な引き上げ時期は、今後、労働政策審議会において議論がなされ決定されます。

 

引き上げられた場合、民間企業の法定雇用率は2.3%ですので、対象となる事業主の範囲は従業員43.5人以上です。

 

 

法定雇用率の計算方法とは?

 

実雇用率と、雇用すべき障害者数の計算方法

 

企業が、自社で雇用すべき障害者の数は何名になるのか、雇用率を達成しているかどうかを確認するには、以下の計算式で求めます。

 

実雇用率 =(障害者である常用労働者数 + 障害者である短時間労働者数 × 0.5) / (常用労働者数 + 短時間労働者数 × 0.5)

法定雇用障害者数(障害者の雇用義務数) = (常用労働者数+短時間労働者数×0.5) × 障害者雇用率(2.2%)

 

常用労働者」とは、1週間の労働時間が30時間以上の方、「短時間労働者」とは、1週間の労働時間が20時間以上30時間未満の方を指します。

なお、それより1週間の労働時間が短いアルバイトやパートの方などはカウントしません。

 

また、法定雇用障害者数を算出するときに発生する小数点以下の端数は、切り捨てて考えます。

 

例、常用労働者数1000人、短時間労働者数500人の場合

(1000 + 500 x 0.5)x 2.2 = 27.5

つまりこの場合、27人の障害者を雇用しなければなりません。

 

 

計算する際のカウント方法

 

1、重度身体障害者や重度知的障害者は、1人を2人に相当するものとして数える

2、短時間労働者の重度身体障害者、重度知的障害者は1名として数える

3、重度以外の身体障害者や知的障害者、精神障害者である短時間労働者は1人を0.5人に相当するものとして数える

 

常用労働者 短時間労働者
身体障害者 重度 2 1
その他 1 0.5
知的障害者 重度 2 1
その他 1 0.5
精神障害者 1 0.5

 

重度身体障害者、もしくは重度知的障害者かどうかの判断については、所持している障害者手帳の障害等級(障害程度)によります。

 

詳しくはこちらの記事をご覧ください。▼

身体障害者手帳の等級とは?1級、2級、3級などの違いを詳しく解説

2019.07.21

療育手帳の等級(程度)とは?判定基準とサービスの違いを解説

2019.07.30

 

 

未達成の場合に罰金や罰則はあるの?

 

法定雇用率未達成の場合

 

法定雇用率を達成していない事業主は納付金を徴収されます。

これは、障害者雇用促進法の中で障害者雇用納付金制度として定められています。

 

常用労働者が100人を超えている企業のうち、雇用している障害者数が法定雇用障害者数より少ない企業は、不足人数1人につき月額5万円の納付金を納めなければなりません。(平成27年4月~32年3月までは常用労働者が100人超~200人以下の企業の場合、月額4万円)

なお、常用労働者が100人以内の企業は、雇用率が未達成の場合でも納付金の徴収はありません。

 

 

事業主の報告義務違反の場合

 

対象となる事業主が雇用状況の毎年の報告を怠った場合や、虚偽の報告をした場合は30万円以下の罰金が科せられます。

 

 

勧告に従わない場合、企業名を公表されることも

 

また、法定雇用率が未達成の事業主には、ハローワークにより、障害者の雇入れに関する計画書の提出命令、計画の実施状況が悪い場合は適正実施の勧告、また、特別指導が行われることもあります。

さらに、正当な理由がないにもかかわらず、勧告に従わない場合、厚生労働大臣は企業名を公表することができます。

 

 

雇用すべき人数よりも上回った場合

 

常時雇用している労働者が100人を超え、雇用障害者数が法定雇用障害者数を上回っている場合は調整金が支給されます。

調整金は、超過した人数1名につき月額27,000円です。

 

障害者雇用促進法とは?法定雇用率や罰則など簡単にまとめました

2019.12.12

 

法定雇用率の達成率は?

 

国、地方公共団体などの達成率

 

2018年6月1日時点の実雇用率

法定雇用率 実雇用率
2.5% 1.22%
都道府県 2.44%
市町村 2.38%
教育委員会 2.4% 1.90%
独立行政法人等 2.5% 2.54%

 

達成している機関や法人の数

達成機関数
8機関で達成/43機関中
都道府県 知事部局 24機関で達成/47機関中
知事部局以外 75機関で達成/114機関中
市町村 1,718機関で達成/2,470機関中
教育委員会 都道府県 5機関で達成/47機関中
市町村 34機関で達成/53機関中
独立行政法人等 独立行政法人等(国立大学法人等を除く) 69法人が達成/92法人中
国立大学法人等 58法人で達成/90法人中
地方独立行政法人等 113法人で達成/166法人中

厚生労働省「平成30年国の機関等における障害者雇用状況の集計結果」

 

民間企業の達成率(平成30年6月1日)

 

実雇用率:2.05% (法定雇用率:2.2%)

 

雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高を更新。

法定雇用率達成企業の割合は45.9%で前年比4.1ポイント減少。

 

厚生労働省「平成30年障害者雇用状況の集計結果」

 

 

障害者雇用水増し問題とは?

 

障害者雇用水増し問題とは、2018年に発覚した障害者の雇用に関する不祥事で、省庁や地方自治体等の公的機関において、障害者手帳を所持していないなど障害者に該当しない者を障害者として雇用し、障害者の雇用率が水増しされていた問題です。

 

 

まとめ

 

法定雇用率は障害者の雇用の安定を図る大事な制度です。

障害者雇用水増し問題が発覚したり、まだまだ障害者の社会参加についてはハードルがあります。

 

そもそも、健常者でも働きすぎでうつ病を発症する環境で、障害者が安定して働くことはできるのでしょうか?

 

障害者に限らず、人々の働き方について根本的なことを考えて行く必要があると思います。