障害者差別解消法とは?わかりやすく簡単にまとめてみました




 

2016年に施行された、「障害者差別解消法」をしっかりと把握していますか?

 

今回の記事ではその法律について、出来るだけ簡単に、わかりやすくまとめていこうと思います。

障害当事者はもちろんですが、対象となる事業者等もしっかりと理解しておきたいですよね。

 

 

障害者差別解消法とは?

 

概要

 

障害者差別解消法とは、障害者差別の解消を推進することを目的とした法律です。

「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」

を目標としています。

 

正式名称は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」。

2013年(平成25年)6月19日に成立して、2016年(平成28年)4月1日に施行されました。

 

また、障害者差別解消法は、障害者基本法第四条の「差別の禁止」の基本原則を具体化するものでもあります。

 

 

障害者基本法第四条とは?

 

(差別の禁止)

第四条
1 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
2 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。
3 国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。

参考:内閣府「障害者基本法」

 

 

障害者差別解消法の具体的な内容

 

内容

障害者差別解消法では、行政機関等及び事業者に対し主に2つのことを求めています。

それは「不当な差別的取り扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」です。

 

 

不当な差別的取扱いとは?

障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由に、

・財・サービスや各種機会の提供を拒否する
・財・サービスや各種機会の提供に当たって場所・時間帯などを制限する
・障害者でない者に対しては付さない条件を付ける

などにより、障害者でない者より不利に扱うこと。

 

 

合理的配慮とは?

行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

参考:内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」

 

つまり、障害のある人から、(社会にある障害を取り除くための)何らかの要望があった場合、負担が大きすぎない範囲内で障害の状態を考慮した変更や調整をして対応することです。

 

合理的配慮で留意する点

・本来の業務に付随するものに限られること
・障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること
・事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと

 

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対象となる「障害者」とは?

対象となる障害者は、障害者手帳の所持に限らず、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害がある方。

 

 

対象となる「事業者」とは?

対象となる事業者は、会社やお店など、同じサービスなどを反復継続する意思をもって行う方で、目的の営利・非営利、個人・法人の別を問いません。

 

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具体例

 

不当な差別的取り扱いの事例

 

・スポーツクラブや習いごとの教室などで、障害があることを理由に入会を断られた

・障害者向け物件はないと言って対応しない

・アパートの契約をするとき、「私には障害があります」と伝えるとアパートを貸してくれなかった

・学校の受験拒否や入学拒否にあった

・お店にはいろうとしたら車椅子を使用していることを理由に断られた

・保護者や介助者がいない、という理由で入店を拒否された

・それまで利用していた店が、その人に精神障害があるとわかった途端、店の利用を拒否した

・聴覚障害のある人が、「筆談のための時間が取れない」との理由で断られた

・本人を無視して介助者や支援者、付き添いの人だけに話しかける

・障害を理由に窓口での対応の順序を後回しにされた

 

 

合理的配慮の事例

 

・車椅子利用者のために段差に携帯スロープを渡す

・高い所に陳列された商品を取って渡す

・精神障害がある職員の通勤時間を変更し、満員電車を利用せずに通勤できるようにする

・知的障害がある人に対して、るびをふったりわかりやすい言葉で書いた資料を提供する

・視覚障害がある職員が使うパソコンに、音声読み上げソフトを導入する

・発達障害者のために他人の視線などをさえぎる空間を用意する

・障害特性に応じて、座席を決める

・書くことが難しい人に、その人の意思を十分に確認しながら代わりに書く

・意思を伝え合うために絵や写真のカードやタブレット端末などを使う

・補聴器を使っている人に対し、放送があるときは確認の声かけを行う

 

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罰則

 

公的機関と民間事業者の違い

 

合理的配慮は、役所や公的機関が法的義務なのに対して、会社やお店などの民間事業者は努力義務となっています。

ただし、不当な差別的取り扱いはどちらも禁止です。

 

不当な差別的取り扱い 合理的配慮の提供
役所・公的機関 禁止 法的義務
会社・お店など 禁止 努力義務

 

 

罰則

 

第6章 罰則

第二十五条 第十九条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第二十六条 第十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。

参考:内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」

 

一つ目は、第十九条の秘密保持義務に関する事項で、障害者差別解消支援地域協議会に従事しているもの、またはしていたものが協議会で知った秘密を漏らした場合、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金となります

 

二つ目は、大臣が対応について対象となる公的機関等や事業者に報告を求めた時、報告をしなかったり、虚偽の報告をした場合、二十万円以下の過料となります。

 

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相談や問題解決の仕組みは?

 

この法律では、国や地方公共団体は、障害を理由とする差別の相談に的確に応じ、紛争を防止または解決できるように、必要な体制の整備を図ることと定められています。

 

また、障害を理由とする差別に関する相談や紛争の防止、解決の取組を進めるため、国や地方公共団体の機関が、それぞれの地域で障害者差別解消支援地域協議会を組織できることとしています。

協議会が組織され、関係する機関などのネットワークが構成されることによって、地域全体として差別の解消に向けた主体的な取組が行われることがねらいです。

協議会には特定非営利活動法人その他の団体、学識経験者、その他国および地方公共団体の機関が必要と認める者を構成員に加えることが出来きます。

 

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問題点

 

障害者差別解消法は「障害者差別を無くす取り組みを進めていく」法律で、差別をなくす強制力が強い法律ではありません。

そのため、事業者の合理的配慮が努力義務であったり、罰則が緩かったりと、本当にそれで障害者差別が減っていくか疑問が残ります。

 

公的機関はこの法律によって、ある程度障害者差別に関する意識が高まるとは思いますが、一般レベルまでこの法律によって広がるでしょうか?

また、障害者の権利に関することはモラルに委ねられることが多く、曖昧なため、しっかりとした罰則をもって対処することも考えていくべきです。

 

障害者差別に関する法律はまだ始まったばかりです。

今後、多くの事例を出していき、再検討し、法改正をしていくことが必要になります。