障害者差別解消法の合理的配慮とは?具体例も一緒に簡単まとめ




 

障害者差別解消法の合理的配慮とはいったいどのような事を言うのでしょう?

 

 

今回は具体例も参考にしながら、障害者差別解消法の合理的配慮についてまとめていこうと思います。

対象となる障害者や事業者等は参考に、是非ご覧下さい。

 

 

障害者差別解消法の合理的配慮とは?

 

障害者差別解消法では、行政機関等及び事業者に対し主に2つのことを求めています。

それは「不当な差別的取り扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」です。

 

障害者差別解消法における合理的配慮とは、

障害のある人から、(社会にある障害を取り除くための)何らかの要望があった場合、負担が大きすぎない範囲内で障害の状態を考慮した変更や調整をして対応することです。

事業者は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明し、 理解を得るよう努めることが必要です。

 

行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

参考:内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」

 

 

▼障害者差別解消法の概要についてはこちらの記事をご覧ください。

障害者差別解消法とは?わかりやすく簡単にまとめてみました

2019.10.18

 

 

具体例

 

合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものです。

具体例については、過重な負担が存在しないことを前提とし、また、それらはあくまでも例示で、記載されている具体例に限られるものではありません。

事業者は、具体的場面や状況に応じて柔軟に対応することが必要です。

 

 

物理的環境への配慮の具体例

 

○ 事業者が管理する施設・敷地内において、車椅子・歩行器利用者のためにキャスター上げ等の補助をし、又は段差に携帯スロープを渡す

○ 聴覚過敏の子供等のために保育室の机・椅子の脚に緩衝材を付けて雑音を軽減する、視覚情報の処理が苦手な子供等のために掲示物等の情報量を減らすなど、個別の事案ごとに特性に応じて対応する

○ 移動に困難のある子供等のために、通園のための駐車場を確保したり、保育室をアクセスしやすい場所に変更したりする

○ 棚の高い所に置かれたものを取って渡す

○ 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後・左右・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする

○ 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする

○ 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申し出があった際、別室の確保が困難であったことから、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける

○ 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする

○ 災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害者に対し、電光掲示板、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し誘導を図る

 

 

意思疎通の配慮の具体例

 

○ 筆談、要約筆記、読み上げ、手話、点字など多様なコミュニケーション、分かりやすい表現を使って説明するなどの意思疎通の配慮を行う

○ 情報保障の観点から、見えにくさに応じた情報の提供、聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供、見えにくさと聞こえにくさの両方がある場合に応じた情報の提供、知的障害に配慮した情報の提供を行う

○ 意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する

○ 比喩表現等の理解が困難な障害者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに具体的に説明する

○ 視覚障害のある職員に会議資料等を事前送付する際、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する

○ 駐車場などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す

○ 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりする、本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う

○ 会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴覚に障害のある職員や知的障害を持つ職員に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心がけるなどの配慮を行う

 

 

ルール・慣行の柔軟な変更の具体例

 

○ 障害者が立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで椅子などを用意する

○ スクリーン、手話通訳者、板書、教材等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する

○ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、発作等がある場合、緊張を緩和するため、当該障害者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する

○ 事務手続の際に、職員等が必要書類の代読・代筆を行う

○ 点字や拡大文字、音声読み上げ機能を使用して学習する子供等のために、教育・保育活動で使用する教材等を点訳又は拡大したものや、テキストデータを事前に渡す等する、また、聞くことに困難がある子供たちのために、教育・保育活動で使用する教材等に字幕又は手話等を付与したものや、視覚的に内容が理解できる資料・教材等の提供等をする

○ 入園のための選考において、本人・保護者の希望、障害の状況等を踏まえ、別室における対応を行う

○ 順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続き順を入れ替える

○ 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する

○ 駐車場等において、障害者が多数見込まれる場合、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する

○ 入館時にICカードゲートを通過することが困難な場合、別ルートからの入館を認める

 

 

合理的配慮の不提供に当たらない事例

 

Q 学校教員や店舗サービススタッフなどの職員等について、障害者が希望する人数や有資格者などを配置しない場合、合理的配慮の不提供となる?

 職員等配置は、環境の整備となりますので、障害者の希望と合わない点があっても、合理的配慮の不提供には当たりません。 ただし、恒常的に障害者への対応に支障を来しているのであれば、増員などの環境の整備に努めてください。例えば車イスで段差を乗り越える手伝いをするために他フロアのサービススタッフも呼んでくるなど、一時的な職員等配置の変更など

 

Q 飲食店での食事介助や温泉施設での入浴介助など、身体介護に当たる行為を求める旨の配慮の申出があった場合、断ると合理的配慮の不提供となる?

 身体介護に当たる行為は、それを事務・事業の一環として行っている場合を除き、お断りしても合理的配慮の不提供には当たりません。

 

Q 聴覚に障害のない障害者が文章でのやり取りを求めたり、体温調節機能に障害のない障害者が室温変更を求めたりなど、他の障害種別向けの配慮を求める旨の申出があった場合、断ると合理的配慮の不提供となる?

 他の障害種別向けの配慮は、お断りしても合理的配慮の不提供には当たりません。

 

 

参考:内閣府「合理的配慮の提供事例集」

 

 

合理的配慮は義務なのか?

 

障害者差別解消法での合理的配慮は、役所や公的機関が法的義務なのに対して、会社やお店などの民間事業者は努力義務となっています。

ただし、不当な差別的取り扱いはどちらも禁止です。

 

不当な差別的取り扱い 合理的配慮の提供
役所・公的機関 禁止 法的義務
会社・お店など 禁止 努力義務

 

 

罰則はあるの?

 

この法律では、違反があった場合に、直ちに罰則を課すことはしていません。

 

ただし、同一の事業者によって繰り返し行われ、自主的な改善が期待できない場合などには、その事業者が行う事業を担当している大臣が報告を求めることができることとしています。

この求めに対して、虚偽の報告をしたり、報告を怠ったりしたような場合には、罰則(20万円以下の過料)の対象になります。

 

第6章 罰則

第二十五条 第十九条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第二十六条 第十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。

参考:内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」

 

 

まとめ

 

合理的配慮は、その状況や場面によって異なり、多種多様です。

大事なことは、偏見を持たず、相手とコミュニケーションをとって判断する事。

障害者に限らず、体が不自由なお年寄りや妊婦さん、または外国から来た方などが暮らしやすい社会をつくっていきたいですね。