障害者総合支援法とは?サービス利用の流れや改正点などまとめ




 

障害者の自立や社会生活を支援するための、「障害者総合支援法」をしっかりと把握していますか?

 

今回はこの法律の概要や利用できるサービスの内容、2018年に改正された点も含めて、できるだけわかりやすくまとめました。

対象となる障害当事者やそのご家族の方は是非目を通してみてください。

 

 

障害者総合支援法とは?

 

障害者総合支援法の正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」。

障害者自立支援法(2006年、平成18年)の問題点を考慮し、改正する形で、2013年(平成25年)に施行。

3年をめどに見直すこととされているため、2016年(平成28年)に法律の一部を改正、2018年(平成30年)4月に施行されました。

 

 

障害者総合支援法の目的とは?

 

障害者や障害児が

基本的人権を持つ人としてふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるように、

障害福祉サービスによる給付地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、

障害の有無にかかわらず

国民が相互に人格と個性を尊重し、安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与すること

を目的としています。

 

 

障害者総合支援法の基本理念

 

障害者及び障害児が日常生活又は社会生活を営むための支援は、

全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、

全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、

全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより

社会参加の機会が確保されること

及び

どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、

地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと

並びに障害者及び障害児にとって

日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資すること

を旨として、総合的かつ計画的に行わなければならない。

 

簡単に要約すると、、、

 

全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において

・生活する上で障壁となる色々なものを除去
・地域社会で共生することを妨げられないようにする
・どこで誰と生活するかについての選択の機会を確保
・社会参加の機会を確保

等の日常生活又は社会生活を営むために必要な支援を総合的かつ計画的に受けられるようにする。

そして

全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものである

との理念にのっとり、

全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会

の実現を目指す。

 

 

障害者総合支援法の対象者となる「障害者」とは?

 

障害者総合支援法では以下の方を「障害者」として定義しています。

身体障害者福祉法に規定する身体障害者

知的障害者福祉法に規定する知的障害者

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する精神障害者(発達障害者支援法に規定する発達障害者を含む)

難病のある方(治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度)

 

障害者総合支援法では難病のある方も対象者となります。

対象となる難病は2018年4月現在、359疾患が指定されています。

詳しくはこちら▶︎「障害者総合支援法」の対象となる疾病を359に拡大します。

 

 

国民の債務について

 

障害者総合支援法では第三条で

すべての国民は、その障害の有無にかかわらず、障害者等が自立した日常生活又は社会生活を営めるような地域社会の実現に協力するよう努めなければならない。

と、定められています。

 

 

参考:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律

 

 

障害者総合支援法で利用できるサービスとは?

 

障害者総合支援法で利用できるサービスは自立支援給付地域生活支援事業で構成されています。

 

自立支援給付の概要と利用できるサービスの種類

 

自立支援給付とは?

自立支援給付とは障害者が自立するために利用する障害福祉サービスの費用を行政が給付し支援するものです。

サービスを利用した際の利用者負担額は原則1割で、住民税が非課税の世帯であれば全額給付されます。

利用できるサービスは以下の通りです。

 

介護給付

居宅介護 重度訪問介護 同行援護 行動援護 重度障害者等包括支援 短期入所(ショートステイ) 療養介護 生活介護 障害者支援施設での夜間ケア等 (施設入所支援)

 

相談支援

計画相談支援 地域相談支援

 

訓練等給付

自立訓練 就労移行支援 就労継続支援 (A型=雇用型、B型=非雇用型) 就労定着支援 自立生活援助 共同生活援助 (グループホーム)

 

自立支援医療

更生医療 育成医療 精神通院医療

 

補装具費支給制度

詳しくはこちらの記事をご覧ください。▼

補装具費の補助とは?基準額や耐用年数、申請方法などまとめ

2020.06.06

 

 

地域生活支援事業の概要と利用できるサービスの種類

 

地域生活支援事業とは?

地域生活支援事業とは、都道府県や市区町村が主体となって、地域の特性や利用者の状況に応じ柔軟に実施する事業です。

地域生活支援事業の中には、市区町村が主体の事業と、都道府県が主体の事業があります。

利用者負担の方法についても全国一律に定められているものではなく、基本的には事業の実施主体の判断によります。

 

利用できるサービスの種類

理解促進研修・啓発 自発的活動支援 相談支援 成年後見制度利用支援 成年後見制度法人後見支援 意思疎通支援 日常生活用具の給付又は貸与 手話奉仕員養成研修 移動支援 地域活動支援センター 福祉ホーム その他の日常生活又は社会生活支援

 

日常生活用具給付等事業について詳しくはこちらの記事をご覧ください。▼

日常生活用具給付等事業とは?その仕組みをわかりやすく解説

2019.07.03

 

地域生活支援事業における都道府県の役割

・専門性の高い相談支援
・広域的な支援
・専門性の高い意思疎通支援を行う者の養成・派遣
・意思疎通支援を行う者の派遣にかかる連絡調整

 

 

障害児を対象としたサービス

 

障害児入所支援(都道府県)

福祉型障害児入所施設 医療型障害児入所施設

 

障害児通所支援(市町村)

児童発達支援 医療型児童発達支援 放課後等デイサービス 居宅訪問型児童発達支援 保育所等訪問支援

 

障害者支援法におけるサービスの種類について、より詳しい記事はこちらです。▼

障害者総合支援法におけるサービスとは?利用の流れと負担額も解説

2019.12.01

 

サービス利用の流れや障害支援区分とは?

 

障害支援区分とは?

 

障害の状態に応じて必要とされる支援の度合いを表す6段階の区分です。

利用者に調査を行い、その結果と医師の意見書の内容を総合的に勘案した審査判定が行われ、市町村が認定します。

必要とされる支援の度合いに応じて適切なサービスが利用できるように導入されています。

 

障害支援区分について詳しくはこちらの記事をご覧ください。▼

障害支援区分とは?わかりやすく簡単にまとめました

2020.06.17

 

 

サービス利用の流れ

 

サービスを利用するためには、市町村の窓口に申請し障害支援区分の認定を受けます。

利用者は「サービス等利用計画案」を「指定特定相談支援事業者」で作成し、市町村に提出。

市町村は、提出された計画案や勘案すべき事項を踏まえ、支給決定します。

 

支給決定された後に「指定特定相談支援事業者」のサービス担当者会議を経て、サービス事業者等との連絡調整を行い、実際に利用する「サービス等利用計画」を作成、

サービス利用が開始されます。

 

 

利用者負担のしくみ

 

障害者総合支援法で受けられる障害福祉サービスは原則1割負担で利用できます。

また、世帯の収入によって月額の負担上限額が設けられており、それ以上の支払いは生じません。

 

自立支援医療補装具費支給の費用についても同様に、負担上限額が設けられ配慮されています。

 

 

参考:全国社会福祉協議会「障害者総合支援法のサービス利用説明パンフレット」平成30年版

 

 

 

障害者総合支援法の改正点とは?(2018年/平成30年施行)

 

改正点の概要

 

障害者総合支援法は3年をめどに見直すこととされているため、平成27年4月から社会保障審議会障害者部会が見直しについての検討を始め、報告書を作成しました。

政府はこの報告書等を受け、平成28年3月1日、障害者総合支援法等改正案を閣議決定し、平成28年5月25日に成立させました。

改正障害者総合支援法は2018年(平成30年)4月から施行されています。

 

改正障害者総合支援法では、以下の3つの柱を大きな枠として改正がなされることになりました。

1、障害者の望む地域生活の支援
2、障害児支援のニーズの多様化へのきめ細かな対応
3、サービスの質の確保・向上にむけた環境整備

具体的な内容は以下の通りとなります。

 

 

1、障害者の望む地域生活の支援

 

地域生活を支援する新たなサービス(自立生活援助)の創設

一人暮らしを希望する障害者を対象に、定期的に利用者の居宅を訪問し必要な助言や医療機関等との連絡調整を行う。

 

就労定着に向けた支援を行う新たなサービス(就労定着支援)の創設

就労に伴う環境変化により生活面の課題が生じている障害者を対象に、相談を通じて生活面の課題を把握するとともに、企業や関係機関等との連絡調整やそれに伴う課題解決に向けて必要となる支援を実施。

 

重度訪問介護の訪問先の拡大

重度訪問介護を利用している者に対し、入院中の医療機関においても、利用者の状態などを熟知しているヘルパーを引き続き利用し、そのニーズを的確に医療従事者に伝達する等の支援を行う。

 

高齢障害者の介護保険サービスの円滑な利用

一定の高齢障害者に対し、一般高齢者との公平性を踏まえ、介護保険サービスの利用者負担を軽減(償還)できる仕組みを設ける。

 

 

2、障害児支援のニーズの多様化へのきめ細かな対応

 

居宅訪問により児童発達支援を提供するサービスの創設

障害児通所支援を利用するために外出することが著しく困難な障害児の居宅を訪問して、発達支援を行うサービスを新たに創設する。(居宅訪問型児童発達支援)

 

保育所等訪問支援の支援対象の拡大

保育所等訪問支援の対象を乳児院や児童養護施設に入所している障害児に拡大する。

 

医療的ケアを要する障害児に対する支援

医療的ケアが必要な障害児が地域において必要な支援を円滑に受けることができるよう、地方公共団体は保健、医療、福祉その他の各関連分野の支援を行う機関との連携促進に努めることとする。

 

障害児のサービス提供体制の計画的な構築

児童福祉法に基づく障害児通所・入所支援などについて、サービスの提供体制を計画的に確保するため、都道府県及び市町村において障害児福祉計画を策定する等の見直しを行う。

 

 

3、サービスの質の確保・向上にむけた環境整備

 

補装具費の支給範囲の拡大(貸与の追加)

成長に伴って短期間での交換が必要となる障害児、障害の進行により短期間の利用が想定されるもの等、障害者の利便に照らして「貸与」が適切と考えられる場合に限り、新たに補装具費の支給の対象とする。

 

障害福祉サービス等の情報公表制度の創設

施設・事業者は障害福祉サービスの内容等を都道府県知事へ報告するとともに、都道府県知事が報告された内容を公表する仕組みを創設する。

 

自治体による調査事務・審査事務の効率化

障害福祉サービス事業所の自治体による調査事務や審査事務を効率的に実施できるよう、これらの事務の一部を委託可能とするために必要な規定を整備する。

 

参考:「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」について

 

 

まとめ

 

障害者総合支援法は、障害者の自立や社会生活を支援してくれる大事な法律です。

サービスを積極的に活用することで生活の質の向上にもつながります。

家計にも助かる制度ですので、曖昧にではなくしっかりと把握しておきたいですね。

 

 




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