PEC(経皮内視鏡的盲腸瘻造設術)を受けてからもうすぐ2ヶ月。
2ヶ月前は不安な事が色々とあったけど、今となっては本当に決断してよかったなと思っています。
まあ、まだ2ヶ月しか経ってないという見方もできるとは思うけど。
とりあえず今回はこの2ヶ月で起こったことや感じたことをまとめて行きたいと思います。
排便関係で悩んでいる人の参考になれば嬉しいです。
▼PECを知らない人はこちらの記事をご覧ください。
PEC手術前の排便管理
まず、僕の体の状態を説明すると
頸髄損傷で胸から下が完全麻痺、指も動かなくて手首が上に持ち上がる程度。
専門的な表現だとC6レベルと言うそうです。
PEC手術前までの排便管理は2日に1度、朝食後に母もしくは訪問看護師に介助をしてもらってベッド上で浣腸をしていました。
前日の夜に下剤を飲んで次の日の朝食後に浣腸をしていたんですけど、下剤の効き具合だったりその日の体調とかでスッキリと便が出るまでの時間はまちまち。
浣腸してだいたいの量が出た後でも体を動かしたりすると後から少しピュッと中に残っていた便が出たりするので、浣腸をした日の午前中はベットから離れずに腸が落ち着いてきた午後になってから行動していました。
それでも月に2、3回は車椅子上で便失禁があったりするので、それで結構悩んでいたんです。
外出先での便失禁はマジで最悪。
それである時インターネットでPECを知り、何年か悩んだ挙句、手術をすることに決めました。
お腹の位置から浣腸液を流し込めると言うことはお尻からとは違って自分で管理しやすくなるし、そうすれば今までベッド上で行なっていた排便がもしかすると便器に座ってできるかもしれない。
そう思って、自宅でシミュレーションしてみて、できるに違いないと思って手術に踏み切りました。
PEC術後の排便管理
まずはベッド上で試しにやってみる
手術が終わって自宅に帰って来てからはまず、ベッド上で盲腸瘻(盲腸ポート)から浣腸液を注入し排便をしてみました。
ちなみに盲腸瘻から浣腸液を注入する事をACEと言うそうです。(順行性浣腸 Antegrade Continence Enema)
▼ACE(順行性浣腸)について詳しくはこちらから。
入院時に体を起こした状態だと便が出にくい事がわかっていたので、自宅でも浣腸液を注入した後は横になって便が出るのを待ちました。
浣腸液を注入すると血圧が上がって踏ん張りだして、10分〜20分で便が出始めます。
盲腸から直腸までの便が出てくるので大量に出ます。
なのでオムツをちゃんと設置しないと溢れてしまうので注意してやります。
だいたいの量の便が出るまでは30分くらいかかりました。
その後お腹が落ち着くと、全く残っていなくて漏れない時が多いですが、3、4回に1回程度は着替え等で体を動かした時に残っていた便が出てくる時がありました。
まあそんな簡単に上手くはいかないか、とその時は思っていました。
浣腸液の量を変えたり摘便などをしてやり方を変えてみるかな、と。
いよいよ便器の上で挑戦
それでベッド上で1ヶ月試して慣れて来たので、いよいよ便器の上で挑戦することにしました。
ちなみに僕の自宅は浴室とトイレが一緒になっていて、トイレとシャワーが横に移動していくと一緒にできるようになっています。
こんな感じ。
なのでこの際、便器でACE(順行性浣腸)をした後はそのままシャワーを浴びれば効率がいいのでそのようにやってみることにしました。
僕は事故で車椅子になってから今まで10年以上、ベッド上で浣腸で排便をしていました。
何が嬉しいってただ単純に便器の上でウンチができる事。
10年ぶり。
便が出ると水に落ちてピチャピチャと音がするのでお尻の感覚がない僕でもどのくらい出たかすぐに分かります。
便が出た後はすぐに流せばいいので匂いが部屋にずっと残る心配もなし。
しかもあれだけ使っていたオムツも全然使う必要がなくなりました。
便器で体を起こしたままACEを行うのが良かったのか、浣腸液を注入してから10分もしないうちに便が出始めて、長くても30分で全て出てスッキリします。
そしてお尻をトイレットペーパーで拭いて終わり。
その後、シャワーで体を洗ってチューブが付いているお腹周りも綺麗に洗ってさっぱりしたら、終了。
全て介助なしで出来ました。
そんな感じで約1ヶ月やってみたんですが
なんと
終わった後は少しも漏れなくなりました。
本当に1ミリも漏れていないです。
体を動かしても後になって便が出てくることは無くなりました。
感動。
下剤を使わなくてよくなった
そして便を柔らかくしなくても出てくれるので、下剤を使う必要がなくなりました。
下剤を使った事がある人はわかると思うけど、あれってけっこう調整難しいんですよね。
空腹の時は効きが良かったり、胃に何か入ってると全く効かなかったりするので。
そして飲み続けるとだんだん効かなくなって下剤の飲む量が増えていきます。
飲む量が増えると体に良くないらしいですし。
そして下剤を飲まなくて良いということはつまり、いつでも排便できるということなんですよね。
それで今まで必ず朝食後に浣腸をしていたんですが、今では夕食後に変更しました。
なぜそうしたかというと、夜にACEをすればその後寝るだけなので寝ている間にお腹が落ち着いてくれるからです。
だから次の日は朝からすぐに行動ができます。
以前は朝浣腸をしてその後お腹が落ち着くまで待っていたので午前中が潰れていたのが、今は午前中も時間を有効に使う事ができるようになりました。
感動。
これからの課題は?
正直言って上手く行き過ぎてこれと言って大きな問題はないんですけど、あえてこれからの課題を絞り出すと、ACEとその後のシャワーを効率よくやって時間を短縮する事ぐらいです。
それも初めは2時間以上かかっていたんですけど今は1時間半程度で終わってますし。
1つ気になる事はチューブがついているお腹周りの皮膚管理ですね。
チューブが引っかかって取れないように普段はガーゼを貼るのでテープで皮膚が負けてしまいます。
貼る位置を毎回変えたりテープの種類などを変えてみたりして対策をして行きます。
まとめ
盲腸瘻を造設して改善されたことをまとめると
- 浣腸をし終わった後の漏れがなくなった(今のところ少しも漏れていない)
- 便器で排便ができるようになってオムツがいらなくなった。
- 介助が必要なくなった。
- 排便の時間が短縮された。
- 下剤が必要なくなった。
- 朝以外でもいつでもできるようになった。
まだ2ヶ月しか経っていませんけど、僕にとってはメリットばかりです。
今後も経過を見て行く必要がありますが今のところ順調に来ています。
また何ヵ月かしたら報告しますね。
PECについて詳しく書かれている宇野良治さんの著書を紹介します。
▼PECを本気で考えている人は必ず読むべきだと思います。