盲腸ポート(盲腸瘻)をご存知でしょうか?
排便の管理で困っている脊髄損傷の人なら一度は聞いた事があると思います。
約3ヶ月前、僕はPEC(経皮内視鏡的盲腸瘻造設術)という手術方法で盲腸ポート(盲腸瘻)を造設しました。
手術前は不安な部分も結構ありましたが、3ヶ月が経った今でもやってよかったなって心から思っています。
手術をしてから2ヶ月後の感想はブログで記事にしたのでご覧ください↓
今回は3ヶ月経ったという事で少しだけ状況が変わってきたり、気づいた点があるので報告していきたいと思います。
もし脊髄損傷の人で手術をするかどうか迷っている人がいたら、参考になれば嬉しいです。
盲腸ポート、PECを知らない人は簡単に説明した記事があるのでこちらをどうぞ↓
術後3ヶ月現在の状況
とりあえず現在のルーティーンはというと
基本的には2日に1回ACE(順行性浣腸)を行います。
夕食が終わって約1時間経ったら準備をしていきます。
浴室に移乗したら服を脱いで便器に座ります。
それからお腹の盲腸ポート(盲腸瘻)から浣腸液を流し込みます。
だいたい今だと5分から10分もすれば排便が始まります。
それで30分もすれば終了。
だいたい下の水にポチャポチャ便が落ちる音が聞こえるのでお尻の感覚が麻痺していてわからなくてもどれだけ出たのかがわかります。
その後お尻を拭いて、シャワーの所までプッシュアップで移動していきシャワーで体を洗います。
あとは体を拭いてまた車椅子に移乗。
だいたい僕はそのまま頭を乾かして歯磨きとかをした後ベッドに移動して寝る準備をするんですが、ACEの準備からベッドに移動するまでで約2時間くらいかかります。
といった感じが現在のルーティン。
便器に座って排便を待つ間はスマホでSNSをチェックしたりしています。
3ヶ月で試行錯誤してきたので今の子のルーティーンは自分ではスムーズにいっていると思っています。
良い出来事
次にこの3ヶ月で起きた良い出来事と悪い出来事をまとめて紹介したいと思います。
まずは良いことから。
下剤を使わなくていいからコントロールがしやすい
何と言ってもこれが大きい。
盲腸ポートがなかった時は朝浣腸していて、前日の夜に下剤を飲んでいました。
下剤で便を緩くしないとうまく便が出てくれなかったんですよね。
しかも下剤の効きが悪くてうまく便が出てこなかったり、逆に効きすぎて次の日ずっとお腹がゴロゴロしていたり。
お尻から浣腸液を入れていたので、便が出ないで浣腸液だけ流れてきたりして、120mlの浣腸液を2本使うときもありました。
下剤のコントロールかなり難しかったです。
しかーし、今では下剤なしで便が出てくれます。
これってかなり大きなことですよね。
下剤を飲まなくて済むので夜にACE(順行性浣腸)で排便をすることが可能になったわけです。
画期的!
外出先での便漏れはゼロ
盲腸ポートを造設するまでは月に何回かはちょい漏れが起きていました。
普段僕は普通にパンツを履いていて、たまに調子が悪い時はパンツの中のお尻のところにパッド式のオムツをあてています。
特に浣腸を朝した時などに外出先でも漏れてしまうことがありました。
おそらく浣腸でスッキリ出きっていなくて、後で運動している間に残りが出てしまうんだと思います。
ちょい漏れならまだ良いけど、本格的にブリブリいった時はマジで最悪ですよね。トラウマになります。(本格的なブリブリは半年に一回くらい)
しかーし、盲腸ポートを造設してからは外出先での便漏れは一切ありません。
本当にチピリともしてないんですよね。
たぶん盲腸ポートを造設してからは夜にACEで排便するのでそれも良いのだと感じています。
夜に眠っている間に腸が落ち着くんじゃないかと。
しかも下剤も使わないので。
ただ
外出先ではなくて自宅では便漏れがありました、、、
それは下の「悪い出来事」で詳しく説明します。
排便時間の短縮
以前はベッド上で朝食後に浣腸をしていて、母親や訪問看護にお願いしていたんですけどスッキリでないことが多くて、浣腸を何回もしたり、摘便したりとかなり時間がかかっていました。
排便の時間だけで、早い時は1時間くらいで終わるけど、なかなか出ない時は2時間以上。
その後腸が落ち着くまで安静にしているので、朝浣腸をする日は午前中は丸々潰れていました。
だけど今は夕食後にACEで排便してシャワーして寝るので、排便にかける時間がかなり短縮されました。
以前の「ウンチに振り回されている感」が無くなって、時間も有効に使えるようになりました。
とにかく管理しやすくなって自立
とにかく
管理がしやすくなって以前は母親や訪問看護にお願いしていたことが自分でできるようになったんです。
これを自立出来ることって本当に大きな自信になるし、何か新しいことにチャレンジしたくなるようなポジティブな感覚になります。
ちなみに僕は排便管理を自立することが出来たので今度は一人暮らしに挑戦しようと思っています。
詳しくはこちらから↓
悪い出来事
残念ながら何もかも上手くいって完璧という訳ではありませんでした。
皮膚のかぶれ
盲腸ポートが皮膚から出ている部分に普段はガーゼを貼っておく必要があります。
チューブが何かに引っかかって引っ張られて抜けてしまわないようにする事と、チューブの脇から少し便汁が出てくるのでそれをガーゼで吸い取る為です。
それでテープでそのガーゼを止めるんですけど、毎日同じ所にテープを貼るので肌がテープ負けでかぶれてしまいました。
出来るだけ同じ所に貼らないようにして、今は病院で薬をもらうほどではないですが、肌がテープを貼っている所だけ黒く変色しています。
悪化しないように出来るだけ同じ所に貼らないように、または肌に比較的やさしいテープを探しいて貼るようにして対策をしています。
シャワー中の漏れ
ACE(順行性浣腸)をした後に僕はそのままシャワーを浴びているんですけど、その最中に何度か残っていた便が出てくるときがありました。
大きな塊の便ではないのでそのままシャワーで排水溝まで流してしまうのでめんどくさい処理はしなくて良いけど、もしシャワーを浴びていなくて車椅子の上とかだと大変ですよね。
やっぱりACEをした後1時間くらいは危険な時間帯なんだと思います。
なのでACEをした後のシャワーは有効です。
体も動かすし色々と刺激になって残った便が排出されるのを促してくれる効果があると感じています。
だからシャワー後の漏れはありません。
朝食後の漏れ
僕は毎日朝食をベッドで食べているんですが、その朝食後1時間以内で便が出ることがありました。
覚えている限りで3回ほど。
体調が悪かったり、食の乱れも影響があったと思います。
盲腸ポートをつける前もそうだったけど朝食後は腸が活発に動くので気をつけなければいけないと思います。
チューブが気づくと出ている時がある
お腹の感覚が麻痺してわからないのでチューブがどこかに引っかかっていてもわかりません。
だからたまにチューブがいつもよりもお腹から出ていて焦ることがあります。
ガーゼをお腹に当ててテープを貼っておけば問題ないけどそのガーゼ自体をそもそも忘れてしまわないようにしなければいけません。
僕はシャワーを浴びた後にガーゼを忘れてそのまま寝てしまった事があります。
朝起きた時にチューブがいつもよりだいぶ出ていたので焦りました。
そんな事がないようにしっかりと忘れずに管理しないといけませんね。
気づいた事
さて次はこの3ヶ月で盲腸ポートを増設して気づいたことを説明します。
そもそもお腹の調子が悪い時は漏れる
まず一つ目は盲腸ポートを増設していくら排便の管理がしやすくなったからと言っても、体調が悪かったら便は漏れるという事。
何か自分の体に合わないものを食べてお腹を下してしまった時とか、体が冷えてしまってお腹を下すとか。
下痢になってしまっては脊髄損傷で麻痺した人は我慢出来ないので生理現象で便は出てしまいます。
とにかく日頃からお腹を下さないように体に合わない食べ物は摂らないようにするべきだと思います。
規則正しい食生活は大事
腸を安定させるために規則正しい食生活を送らなければいけません。
ちゃんと朝昼晩決められた時刻に食事を摂る事であったり、栄養のバランスを考えることも大事です。
細かく言えばどんな食べ物が便秘になったり軟便にしたり、またはガスを発生させたりするのかを知識として持っておくと良いと思います。
生活習慣自体を見直すことで食の安定にも繋がると思うのであまり夜更かしや外食をしすぎないように気をつけるべきです。
朝の漏れ対策法
前述した朝の漏れ対策はまだ研究中だけどテレビの便秘を解消する番組でこんなことを放送していました。
食事をしてから10時間なにも食べずにいてそこから一気に食事を摂ると、腸が活発に動いて便が出やすい状況になるそうです。
それを見てなるほどと思いました。
つまり夕食と朝食の間は大体10時間以上経っているので、朝食の後は腸が活発に動いて便が出やすいということです。
その対策として僕が思いついたのは寝る前に何か少しだけ食事を摂るということ。
もちろん太らないようにあまりカロリーが高くないもので。
そうすれば朝起きた時にそこまで空腹の時間が長くないので、朝食を摂った時の腸の活発な動きは押されるのじゃないかと。
ただいま実験中。
まとめ
色々と長く書いてきましたがまとめると
盲腸ポートは排便の管理をし易くするものだけど、それだけに頼るのではなくて日頃から体調管理が必要
ということです。
これが盲腸ポートを造設して3ヶ月の僕の感想です。
と言っても盲腸ポートにしてから明らかに生活の質が上がりました。
もし脊髄損傷で排便管理に悩んでいる人がいたらおすすめします。
次は半年後の感想をブログで記事にしたいと思っているのでその記事もぜひ読んでみてください。
それではまた!
PEC(経皮内視鏡的盲腸瘻造設術)や盲腸ポートについて書かれている本はこちら▼