障害年金の1級、2級、3級の違いを把握していますか?
障害年金は、病気やケガが理由で生活が困難になった方のための大事な制度です。
今回は障害年金の1級、2級、3級の金額や受給条件、認定基準の違いについてまとめていきたいと思います。
これから申請を検討されている方や、すでに受給されてる方も確認のために、是非目を通してみてください。
障害年金1級の金額はいくら?
障害基礎年金1級の金額
支給額(平成31年度[令和元年]/2019)
年額 : 780,100円 × 1.25 + 子の加算
月額 : 約8万1千円 + 子の加算
障害基礎年金の「子の加算」とは?
子の加算とは、障害基礎年金を受給される方で子供がいる方に加算される金額のことです。
子供の数 | 子の加算額 | 月額 |
一人目、二人目の子供 | 224,500円 | 約1万8千円 |
3人目以降の子供 | 74,800円 | 約6千円 |
※子の加算の子供は次のものに限ります。
・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
・20歳未満で障害等級1級または2級の障害者
障害厚生年金1級の金額
支給額
報酬比例の年金額 × 1.25 + 配偶者の加給年金額
「報酬比例の年金額」とは?
「報酬比例の年金額」とは、その人の貰っていた給与や厚生年金に加入していた期間などによって計算された年金額のことです。
報酬比例の年金額は人によって金額が違います。
障害厚生年金における、「配偶者の加給年金」とは?
配偶者の加給年金とは障害厚生年金を受給される方で、65歳未満の配偶者がいる方に加算される金額のことです。
障害等級1・2級 : 年間 224,500円 / 月額約1万8千円
障害等級3級の方には配偶者加給年金はありません。
障害年金2級の金額はいくら?
障害基礎年金2級の金額
支給額(平成31年度[令和元年]/2019)
年額 : 780,100円 + 子の加算
月額 : 約6万5千円 + 子の加算
障害厚生年金2級の金額
支給額
報酬比例の年金額 + 配偶者の加給年金額
障害年金3級の金額はいくら?
障害基礎年金3級の金額
障害基礎年金に3級はありません。
障害厚生年金3級の金額
支給額
報酬比例の年金額、または最低保証額(585,100円)
障害年金3級の受給者も国民年金の支払いが免除される?
障害年金1級や2級を受給している場合、国民年金の保険料支払いが免除されます。
また、過去に障害年金2級を受給していた方が、障害の程度が軽くなったことにより3級になった場合は、引き続き法定免除となります。
ただし、障害厚生年金3級を受給している方で、一度も障害年金2級以上に該当していない方は法定免除の対象になりません。
なお、法定免除となっている方が、障害等級の3級にも該当しなくなって3年が経過した場合、法定免除は消滅します。
障害手当金(一時金)の金額はいくら?
障害手当金とは?
厚生年金加入中に病気やケガにより、障害厚生年金3級を受けるよりも軽い障害が残ったときに、年金としてではなく一時金として障害手当金が支払われます。
障害手当金の金額
報酬比例の年金額 × 2、または最低保証額(1,170,200円)
障害年金1級,2級,3級の受給条件とは?
障害基礎年金1級,2級の受給条件
障害基礎年金は受給条件の1〜3の全てに該当する方が受給できます。
受給条件
1、障害の原因となった病気やケガの初診日が次のいずれかの間にあること。
・国民年金加入期間
・20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間(老齢基礎年金を繰り上げて受給している方を除きます。)
2、障害の状態が、障害認定日または20歳に達した時に障害等級の1級または2級に該当していること。
3、保険料の納付要件を満たしていること。20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は不要です。
障害厚生年金1級,2級,3級の受給条件
障害厚生年金は受給条件の1〜3の全てに該当する方が受給できます。
受給条件
1、厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やケガの初診日があること。
2、障害の状態が、障害認定日に、障害等級の1級、2級、3級のいずれかに該当していること。
3、保険料の納付要件を満たしていること。
障害手当金(一時金)の受給条件
障害手当金はは受給条件の1〜3の全てに該当する方が受給できます。
受給条件
1、厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やケガの初診日があること。
2、障害の状態が、次の条件全てに該当していること。
・初診日から5年以内に治っていること。(症状が固定)
・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと。
・障害等級に該当する障害の状態であること。
3、保険料の納付要件を満たしていること
初診日と障害認定日とは?
初診日とは?
障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師の診療を受けた日。
障害認定日とは?
障害の状態を定める日のことで、その障害の原因となった病気やケガについての初診日から1年6ヶ月を過ぎた日、または1年6ヶ月以内にその病気やケガが治った場合(症状が固定した場合)はその日をいいます。
保険料の納付要件とは?
初診日がある月の2ヶ月前までの期間で、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること。(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)
保険料納付要件の特例
年金未納期間が多い場合でも、次の全ての条件に該当する場合は納付要件を満たします。
・初診日の前日において、初診日がある2ヶ月前までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
・初診日において65歳未満であること
・平成38年4月1日前に初診日があること
仕事、就労していても障害年金は受給できる?
身体障害などの等級認定の具体的な指標がある場合は、仕事をしていても障害年金を受給することが出来ます。
ただし、精神障害の場合は、数値的な認定が難しく、一般的な判定の基本である日常生活や就労状況で審査が行われるため、仕事をしていることは不利に働くことが多いようです。
また、受給できた場合でも更新時に仕事ができている事実があると、状態が良くなったと診断されて、支給停止になるケースもあります。
障害年金の所得制限とは?
障害年金1級,2級の方の所得制限
障害基礎年金については、20歳前の傷病が原因で受給している方のみに、所得制限が設けられています。
障害年金3級の方の所得制限
障害厚生年金には所得制限が設けられていないため、障害厚生年金3級を受給している方に所得制限はありません。
障害年金の所得制限に関して詳しくはこちらの記事をご覧ください▼
障害年金は更新が必要?
障害年金を受給されている方は定期的に診断書(障害状態確認届)を日本年金機構に提出し、更新する必要があります。
更新日が近づくと障害状態確認届(診断書)という書類が日本年金機構から送られてきます。
更新の手続きはその診断書を医師に書いてもらい、更新月(誕生月)までの期間の間に、所定の場所に提出するだけです。
時期は人それぞれで、初めて更新される方は年金証書の「次回診断書提出年月日」に更新時期が記載されています。
障害年金1級,2級,3級の認定基準とは?
障害年金1級の認定基準
身体機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。
身の回りのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。
障害年金2級の認定基準
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度の状態です。
例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、 それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの。
病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるもので、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものです。
障害年金3級の認定基準
労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
また、「傷病が治らないもの」にあっては、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの。
「傷病が治らないもの」については、 障害手当金に該当する程度の障害の状態であっても3級に該当します。
障害手当金の認定基準
「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの
傷病が治った場合とは、器質的欠損もしくは変形または機能障害を残している場合は、医学的に傷病が治ったとき。
または、その症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態に至った場合をいいます。
障害年金の障害種別認定基準
障害種類別の等級認定基準の詳細はこちらからどうぞ▼
国民年金・厚生年金保険「障害認定基準」(平成29年12月1日改正)
うつ病など精神障害での認定基準は?
うつ病や精神障害の方でも受給条件を満たし、かつ障害等級に該当すれば、障害年金を受給することができます。
ただし、うつ病などの精神障害の場合、身体障害と比べると障害年金の受給認定の判断は難しいとされています。
それは、精神障害の場合、障害等級を認定するための数値的な判断ができなかったり、また、困難がありながらも仕事ができてしまうと障害が軽いとみなされる場合があるからです。
そして、うつ病などで気力がない場合はそもそも本人が積極的に行動できないため、周りのサポートも必要になります。
精神障害での障害年金の認定基準について詳しくはこちらの記事をご覧ください▼
障害年金と障害者手帳の認定基準は違う?
障害者手帳と、障害年金はそれぞれ別の制度ですので認定基準も違います。
混同しないように気をつけましょう。
最後に
障害で生活や仕事に困難がある方にとって、障害年金は家計を支えてくれる大事な制度です。
お金に関する将来の不安を取り除くためにも、曖昧にではなくしっかりと理解しておきたいですよね。