障害年金は精神障害者も受給できる? 1級,2級,3級の基本情報まとめ




 

精神障害で仕事や生活に困難がある方にとって、障害年金は家計を支えてくれる重要なものです。

 

今回は精神障害による障害年金について、1級、2級、3級それぞれの認定基準や受給できる金額、また、仕事や精神障害者手帳との関係、更新手続きに至るまでをまとめました。

これから障害年金の申請を考えている方、またはすでに受給されている方も確認のために、是非目を通してみてください。

 

 

精神障害による障害年金1級の基本情報

 

障害年金1級の大まかな認定基準

 

身体機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

 

他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。

身の回りのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。

 

 

精神障害の種類別認定基準 : 1級

 

統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害(うつ病、躁うつ病)

  • 統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの
  • 気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの

 

 

症状性を含む器質性精神障害

高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの

 

 

てんかん

十分な治療にかかわらず、てんかん性発作の「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」又は「意識障害の有無を問わず、転倒する発作」が月に1回以上あり、かつ、常時の援助が必要なもの

 

 

知的障害

知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの

 

 

発達障害

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの

 

 

障害年金1級の金額はいくら?

 

障害基礎年金1級の支給金額(平成31年度[令和元年]/2019)

 

年額 : 780,100円 × 1.25 + 子の加算

月額 : 約8万1千円 + 子の加算

 

 

障害厚生年金1級の支給金額

 

報酬比例の年金額 × 1.25 + 配偶者の加給年金額

 

 

障害年金の金額についてはこちらの記事でより詳しくまとめています▼

障害年金1級,2級,3級の金額や受給条件、認定基準の違いとは?

2020.04.04

 

精神障害による障害年金2級の基本情報

 

障害年金2級の大まかな認定基準

 

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

 

必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度の状態です。

例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、 それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの。

病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるもので、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものです。

 

 

精神障害の種類別認定基準 : 2級

 

統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害(うつ病、躁うつ病)

  • 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
  • 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの

 

 

症状性を含む器質性精神障害

認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの

 

 

てんかん

十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、「意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作」又は「意識障害はないが、随意運動が失われる発作」が月に1回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受けるもの

 

 

知的障害

知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの

 

 

発達障害

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

 

 

障害年金2級の金額はいくら?

 

障害基礎年金2級の支給金額(平成31年度[令和元年]/2019)

 

年額 : 780,100円 + 子の加算

月額 : 約6万5千円 + 子の加算

 

 

障害厚生年金2級の支給金額

 

報酬比例の年金額 + 配偶者の加給年金額

 

 

精神障害による障害年金3級の基本情報

 

障害年金3級の大まかな認定基準

 

労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

 

また、「傷病が治らないもの」にあっては、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの。

「傷病が治らないもの」については、 障害手当金に該当する程度の障害の状態であっても3級に該当します。

 

 

精神障害の種類別認定基準 : 3級

 

統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害(うつ病、躁うつ病)

  • 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの
  • 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

 

 

症状性を含む器質性精神障害

  • 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの
  • 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの

 

 

てんかん

十分な治療にかかわらず、てんかん性発作の「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」又は「意識障害の有無を問わず、転倒する発作」が年に2回未満、もしくは、「意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作」又は「意識障害はないが、随意運動が失われる発作」が月に1回未満あり、かつ、労働が制限を受けるもの

 

 

知的障害

知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの

 

 

発達障害

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

 

 

障害年金3級の金額はいくら?

 

障害基礎年金3級の支給金額

 

障害基礎年金に3級はありません。

 

 

障害厚生年金3級の支給金額

 

報酬比例の年金額、または最低保証額(585,100円)

 

 

 

障害手当金が受給できる精神障害とは?

 

症状性を含む器質性精神障害で「認知障害のため、労働が制限を受けるもの」は障害手当金に該当します。

その他の精神障害の種類は、障害手当金の認定基準が設けられていません。

 

また、障害手当金は、年金としてではなく一時金として支払われます。

 

支給金額 : 報酬比例の年金額 × 2、または最低保証額(1,170,200円)

 

 

障害年金の金額や受給条件についてはこちらの記事をご覧ください▼

障害年金1級,2級,3級の金額や受給条件、認定基準の違いとは?

2020.04.04

 

障害年金の申請方法について詳しくはこちらの記事をご覧ください▼

障害年金の申請方法とは?必要書類や受給できる条件などまとめ

2020.03.16

 

仕事をしながら障害年金は受給できる?

 

障害年金1級、2級は仕事をしていても受給できる?

 

障害年金2級の認定基準では「労働により収入を得ることができない程度の状態」とあるため、仕事をしながらの障害年金1級、2級の受給は困難と言えます。

精神障害の場合は、身体障害などと違い、数値的な等級認定が難しく、一般的な判定の基本である日常生活や就労状況で審査が行われるため、仕事をしていることは不利に働くことが多いようです。

就労することができず障害年金を受給できた場合でも、更新時に仕事ができている事実があると、状態が良くなったと診断されて、支給停止になるケースもあります。

 

 

障害年金3級は仕事をしていても受給できる?

 

障害厚生年金3級では認定基準で「労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの」とあるため、パートタイム程度でしたら仕事をしていても受給できるようです。

また、フルタイムで就労していたとしても、状況により、障害厚生年金3級を受給できたケースもあるようですので、年金事務所などで相談してみましょう。

 

 

精神障害による障害年金の更新手続きについて

 

更新時期はいつ?

 

障害年金を受給されている方は定期的に診断書(障害状態確認届)を日本年金機構に提出する必要があります。

一般的に更新と呼ばれますが、その時期は人それぞれで、初めて更新される方は年金証書の「次回診断書提出年月日」に更新時期が記載されています。

 

精神疾患で、障害の状態が変化しやすい方は毎年更新が必要になる場合もあります。

 

 

手続きの仕方

 

手続きの流れ

更新月(誕生月)の3ヶ月前の末ごろになると、障害状態確認届(診断書)という書類が日本年金機構から送られてきます。

更新の手続きはその診断書を医師に書いてもらい、更新月(誕生月)までの期間の間に、所定の場所に提出するだけです。

 

診断書(障害状態確認届)の提出先

診断書(障害状態確認届)の提出先は、同封の返信用封筒で日本年金機構あてに郵送、もしくは近くの年金事務所または街角の年金相談センターに提出してください。

また、障害基礎年金のみを受けている方は、お住まいの市区町村役場の窓口でも提出できます。

 

必要書類

障害年金の更新に必要な書類は診断書(障害状態確認届)のみです。

障害年金の申請の時のように多くの書類は必要ありません。

 

 

結果はいつわかるの?

 

更新の結果は、提出月の約3か月後に文書またはハガキで通知されます。

受給中の障害年金は、提出月から3か月後の分までは保障されており、その後の障害年金は、審査結果に応じて変更、または継続されます。

 

また、審査結果により等級が変更になった場合は、「支給額変更通知書」という書類が届きます。

 

 

障害年金と精神障害者手帳の関係について

 

障害年金と精神障害者手帳の等級基準は同じ?

 

障害年金と精神障害者手帳はそれぞれ別の制度です。

障害年金と精神障害者手帳の等級は1級、2級、3級と同じような区分になっていますが、精神障害者手帳の2級を認定されたから、そのまま自動的に障害年金も2級が認定されるというわけではありません。

あくまでも、障害年金は障害年金用の診断書を日本年金機構へ提出して審査を受ける必要があり、その結果、手帳とは違う等級で決定される可能性があります。

 

 

年金受給者は精神障害者手帳の申請、更新がスムーズ?

 

障害年金受給者は、精神障害者手帳の申請や更新時に障害年金証書を添付することで、医師の診断書を省略することができます。

また、精神障害で障害年金の支給が決定された後に精神障害者手帳取得の手続きをすれば、同じ等級の手帳がもらえます。

 

 




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