日常生活用具給付等事業とは?その仕組みをわかりやすく解説




 

特殊ベッドや移動用リフト、入浴補助用具などを購入する時に、一定の費用を支給してくれる日常生活用具給付制度

皆さんは詳しく知っていますか?

 

障害がある方ならこれから長くお世話になる制度だと思いますので、しっかり覚えておきたいですよね。

 

今回はその日常生活用具給付制度について、できるだけわかりやすくまとめましたので、対象になる方は是非目を通してみてください。

 

日常生活用具給付等事業とは?

 

日常生活用具給付等事業の概要

 

障害者総合支援法による地域生活支援事業のうち、市町村が行う必須事業の一つ。

障害者などの日常生活がより円滑に行われるための用具を給付または貸与することにより、日常生活の便宜を図ることを目的とした事業です。

 

 

地域生活支援事業とは

 

市町村や都道府県が実施主体となり、障害者(児)が自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう、地域の特性や利用者の状況に応じ、柔軟な形態により効果的・効率的に行う事が出来る事業です。

▶︎市町村対象事業一覧

▶︎都道府県対象事業一覧

 

 

対象者

 

日常生活用具給付等事業は、市町村の判断により決定されるため、市町村により対象者が若干異なります。

詳しくはお住いの地域の障害福祉課にお問い合わせください。

 

例、東京都江戸川区

 

対象になる方

1、身体障害者手帳の交付を受けた方で、障害の部位について必要と認められた方

2、愛の手帳(療育手帳)の交付を受けた方で、必要と認められた方

3、障害者総合支援法第4条第1項に規定する特殊の疾病に該当する方で、必要と認められた方

4、一時的なストーマ造設のため身体障害者手帳交付の該当とならない方(ストーマ装具のみ給付対象)

 

対象にならない方

1、介護保険に該当する方で、介護保険制度対象となる福祉用具が必要な方(介護保険サービスが優先です)

2、本人または配偶者(障害児の場合は住民票が同一の世帯員全員)のうち、住民税(区民税)所得割額が46万円以上の方がいる場合。なお、18歳までの扶養親族がいる場合は住民税所得割額を再算定したうえで支給の可否を判定しますので、担当係にお問い合わせください。

3、小児慢性疾患に該当する方で身体障害者手帳をお持ちでない方は、小児慢性特定疾病児童日常生活用具給付事業をご利用ください。

4、施設入所中および入院中の方(頭部保護帽、点字器、人工咽頭、つえ、携帯用会話補助装置、 収尿器、ストーマ装具、紙おむつをのぞく)

 

 

日常生活用具とは

 

日常生活用具とは、在宅の障害者の生活支援のために必要な、国で定めた以下の3つの要件を満たすものです。

1、障害者等が安全かつ容易に使用できるもので実用性が認められるもの

2、障害者等の日常生活上の困難を改善し、自立を支援し、かつ、社会参加を促進すると認められるもの

3、用具の製作、改良又は開発に当たって障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常生活品として一般に普及していないもの

 

さらに日常生活用具は、その用途別に6つの種目に分けられます。

 

1、介護・訓練支援用具

特殊寝台、特殊マットその他の障害者等の身体介護を支援する用具並びに障害児が訓練に用いるいす等のうち、障害者等及び介助者が容易に使用できるものであって、実用性のあるもの。

品目例 対象者
特殊寝台 下肢または体幹機能障害
特殊マット
特殊尿器
入浴担架
体位変換器
移動用リフト
訓練いす(児のみ)
訓練用ベッド(児のみ)

 

2、自立生活支援用具

入浴補助用具、聴覚障害者用屋内信号装置その他の障害者等の入浴、食事、移動等の自立生活を支援する用具のうち、障害者等が容易に使用することができるものであって、実用性のあるもの。

品目例 対象者
入浴補助用具 下肢又は体幹機能障害
便器
頭部保護帽 平衡機能又は下肢もしくは体幹機能障害
T字状・棒状のつえ
移動・移乗支援用具
特殊便器 上肢障害
火災警報機 障害種別に関わらず火災自動消火器発生の感知・避難困難者
自動消火器
電磁調理器 視覚障害
歩行時間延長信号機用小型送信機
聴覚障害者用屋内信号装置 聴覚障害

 

3、在宅療養等支援用具

電気式たん吸引器、盲人用体温計その他の障害者等の在宅療養等を支援する用具のうち、障害者等が容易に使用することができるものであって、実用性のあるもの。

品目例 対象者
透析液加温器 腎臓機能障害等
ネブライザー(吸入器) 呼吸器機能障害等
電気式たん吸引器
酸素ボンベ運搬車 在宅酸素療法者
盲人用体温計(音声式) 視覚障害
盲人用体重計

 

4、情報・意思疎通支援用具

点字器、人工喉頭その他の障害者等の情報収集、情報伝達、意思疎通等を支援する用具のうち、障害者等が容易に使用することができるものであって、実用性のあるもの。

品目例 対象者
携帯用会話補助装置 音声言語機能障害
情報・通信支援用具※ 上肢機能障害又は視覚障害
点字ディスプレイ 盲ろう、視覚障害
点字器 視覚障害
点字タイプライター
視覚障害者用ポータブルレコーダー
視覚障害者用活字文書読上げ装置
視覚障害者用拡大読書器
盲人用時計
聴覚障害者用通信装置 聴覚障害
聴覚障害者用情報受信装置
人工喉頭 喉頭摘出者
福祉電話(貸与) 聴覚障害又は外出困難者
ファックス(貸与) 聴覚又は音声機能若しくは言語機能障害で、電話では意思疎通困難者
視覚障害者用ワードプロセッサー(共同利用) 視覚障害
点字図書

情報・通信支援用具とは、障害者向けのパーソナルコンピュータ周辺機器や、アプリケーションソフトをいう。

 

5、排泄管理支援用具

ストーマ装具その他の障害者等の排泄管理を支援する用具及び衛生用品のうち、障害者等が容易に使用することができるものであって、実用性のあるもの。

品目例 対象者
ストーマ装具(ストーマ用品、洗腸用具) ストーマ造設者
紙おむつ等(紙おむつ、サラシ・ガーゼ等衛生用 品) 高度の排便機能障害者、脳原性運動機能障害かつ意思表示困難者
収尿器 高度の排尿機能障害者

 

6、居宅生活動作補助用具

障害者等の居宅生活動作等を円滑にする用具であって、設置に小規模な住宅改修を伴うもの。

対象者:下肢、体幹機能障害又は乳幼児期非進行性脳病変

 

▶︎日常生活用具一覧

 

 

自己負担額について

 

補助金の負担割合

国:50/100、 都道府県:25/100、 市町村:25/100

 

利用者負担

日常生活用具給付等事業は、市町村の判断により決定されるため、市町村により自己負担額の割合等が若干異なります。

詳しくはお住いの地域の障害福祉課にお問い合わせください。

例、札幌市

原則として1割の自己負担金がありますが、所得の状況に応じて負担の上限額があります。

なお、利用者の世帯の中に、当年度(4月~6月の間は前年度)の市町村民税所得割額が46万円以上の方がいるときは、この制度による支給は受けられません。

 

利用者負担上限月額

生活保護受給世帯または市民税非課税世帯:0円

市民税課税世帯:37,200円(ストーマ用装具は3,100円)

 

差額自己負担

基準を超える用具を希望する場合は、基準額との差額はいずれも全額自己負担となります。

 

基準額とは

日常生活用具にはそれぞれ上限の価格としての購入基準額が定められており、それを超えた場合、差額を本人が負担することになっています。

日常生活用具の基準額の例▼
http://www.rehab.go.jp/beppu/book/pdf/livinghome_no1.pdf

 

 

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申請手順

 

申請に必要なもの

 

一般的な申請に必要なもの(市町村により若干異なります)

・日常生活用具給付申請書

・業者からの見積書

・給付を希望する用具のカタログ

・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳または難病患者等であることが確認できるもの(特定疾患医療受給者証等)

・その他、必要に応じ医師の意見書、診断書、対象者の属する世帯全員の所得税額等を確認できる書類などを求められる場合があります。

 

 

手続きの流れ

 

1、日常生活用具給付申請

日常生活用具の給付を希望する障害者等は、必要書類を揃え、市町村に日常生活用具の申請を行う。

2、日常生活用具給付の判定、決定

申請を受けた市町村は必要な調査等を行い、給付が適切であると認めるときは、給付の決定を行う。

3、日常生活用具の引渡し、購入費支払い

給付の決定を受けた障害者等は、事業者から日常生活用具品を受け取り

事業者に対し、購入費用を支払う。(償還払方式の場合)

もしくは

事業者に対し、利用者負担額を支払う。(代理受領方式の場合)

4、公費負担金の請求

利用者は市町村に対し、公費負担金を請求する。(償還払方式の場合)

もしくは

事業者は市町村に対し、公費負担金を請求する。(代理受領方式の場合)

5、公費負担金の支払い

市町村は、利用者もしくは事業者から請求があった時は、公費負担金を支払います。

 

 

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よくあるQ&A

 

Q:いつ、どのような場合に再支給されるの?

 

A

通常、日常生活用具の再支給は耐用年数を過ぎてから行われます。

しかし、障害状況の変化等で身体に適合しなくなった場合や、著しく破損し修理不能な場合は、耐用年数内でも再支給が可能です。

耐用年数の経過後でも、修理等で継続して使用可能な場合は、再支給の対象になりません。

つまり、耐用年数の経過状況のみで再支給の判断をするのではなく、使用中の日常生活用具の状態を確認して判断することになります。

なお、災害など本人の責任によらない事情により壊れたり、無くなったりした場合は、新たに必要と認める日常生活用具の支給が可能です。

 

 

Q:耐用年数って何?

 

A

耐用年数とは、想定できる通常の状態で使用した場合に、その日常生活用具が修理不能となるまでの予想年数を目安として定めているものです。

個々の障害者の身体状況や日常生活用具の使用頻度や使用環境、作業状況等により、実際の耐用年数には相当の長短があると予想されます。

したがって、日常生活用具の再支給については、耐用年数を経過したことのみの理由で認められるものではなく、修理を行うよりも新たに支給したほうが合理的・効果的である場合に認められます。

 

日常生活用具の耐用年数、基準額の例▼
http://www.rehab.go.jp/beppu/book/pdf/livinghome_no1.pdf

 

 

まとめ

 

障害者にとって日常生活用具給付制度は、長く付き合っていかなければいけない大切な制度ですので、しっかりと覚えておきたいですね。

色々な品目があるので、自分に該当するものをしっかりと把握しておくべきです。

 

そして、自立や社会参加に積極的に取り組んでいきましょう。

 

 




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