電車内でたまに見かけるヘルプマーク、どういうものかしっかりと把握していますか?
このマークは、援助や配慮を必要としていることが、外見から分からない方が利用できるマークです。
今回はこのヘルプマークについて、対象者や利用方法・入手方法、悪用などの問題点についてまとめました。
ヘルプマークが必要な方、またはマークを見かけるけど対応方法がわからない方など、是非一度目を通してみてください。
ヘルプマークとは?
ヘルプマークの概要
義足や人工関節を使用している方、内部障害の方、または発達障害、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としていることが、外見から分からない方がいます。
ヘルプマークとは、そうした方々が援助が得やすくなるよう、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることができるマークです。
東京から全国各地へ普及
ヘルプマークは2012年に東京都が作成したマークで、現在は全国各地へ普及しつつあります。
また、平成29年7月20日、ヘルプマークがJIS(日本産業規格)に追加されました。
これにより、「ヘルプマーク」が全国共通のマークになるため、多様な主体が多様な場所で活用・啓発できるようになり、広く普及し、認知度の向上も期待できます。
JIS(日本産業規格)
日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のこと
ヘルプマークの利用方法とは?
駅や福祉課窓口などで配布されているストラップタイプのヘルプマークは、裏面に必要な支援の内容等を自由に記入し、かばん等の目につきやすい所につけます。
人目につきやすいようにつけることで、周囲に配慮を必要としていることを知らせることができます。
また、裏面の書き方は特に決まりはありませんが、一般的に自分の障害・病気の名前や必要な支援・配慮の内容、緊急連絡先などを記します。
ヘルプマークを見かけた時の対応方法とは?
電車内・バス内で見かけた場合、席を譲る
外見では健康にみえても、疲れやすかったり、つり革につかまり続けるなどの同じ姿勢を保つことが困難な方がいます。
また、外見からは分からないため、優先席に座っていると不審な目でみられ、ストレスを受けることがあります。
駅や商業施設等で、困っているようなら声をかける
交通機関の事故等、突発的な出来事に対して臨機応変に対応することが困難な方や、立ち上がる、歩く、階段の昇降などの動作が困難な方がいます。
災害時は、安全に避難するため誘導する
視覚障害者や聴覚障害者等の状況把握が難しい方、肢体不自由等により自力での迅速な避難が困難な方がいます。
ヘルプマークの対象者とは?
対象者は援助や配慮を必要としている方
ヘルプマークの対象になる人は、身体機能等に特に基準を設けているわけではなく、援助や配慮を必要としていて、配布を希望する方々です。
内部障害・疾患、視覚・聴覚障害、身体障害、発達障害、精神障害、知的障害、認知症、難病、義足や人工関節を使用している、手術後、妊娠初期 など
なお、必要な方々が円滑にマークを活用することができることに配慮し、ヘルプマークを身につけるために障害者手帳の有無や、書類の提出などは必要ありません。
例、パニック障害・不安障害などの精神障害がある方
パニック障害、不安障害などの精神障害がある方で、電車内などで急に発作が起きた場合、ヘルプマークをつけておくことで周囲に支援が必要なことが明らかになります。
また、うまく話すことができない状況になる場合は、ヘルプマークの裏面に必要な支援の内容を記載しておくと良いでしょう。
例、内部障害など外見から障害がわからない方
内部障害などで外見からは障害を抱えていることがわかりにくい方の場合、ヘルプマークをつけておくことで、優先席などに座っていても不正利用と疑われずに済みます。
また、混雑した電車の中でも、接触を避けてもらえるような効果も考えられます。
例、視覚・聴覚障害などコミュニケーションに不安がある方
視覚・聴覚に障害がある方は、緊急時などで普段とは違う行動をとらなければいけない場合、大変困難な状況に陥ります。
そんな時にヘルプマークをつけておけば、援助が必要なことが周囲に明らかになります。
ヘルプカードとは?
ヘルプカードは、障害などのある人が困った時に、周囲の方に配慮や手助けをお願いしやすくするための情報を伝えるカードです。
ヘルプマークをつけて常に周囲に配慮が必要なことを知らせる必要がない場合や、ヘルプマークと併用してより詳細な内容を記載したい場合などに利用することができます。
手帳やカード入れ、財布等に備えておくなど、持ち歩き方は自由です。
現在、区市町村において、ヘルプカードの他、SOSカードや防災手帳など、地域の実情に応じたさまざまなカードや手帳などが作成されています
ヘルプマークとハートプラスマークの違い
ハート・プラスマークは内部障害や内臓障害の理解や協力を広げるために作られた障害者マークです。
ハートプラスマークが内部障害や内臓障害と定められているのに対し、ヘルプマークは特に障害の種類等に制限はなく、支援や配慮を周囲に知らせる必要がある様々な方が対象になります。
その他の障害者に関するマークについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。▼
ヘルプマークの貰い方|配布場所は?郵送できる?
配布場所・入手方法
ストラップタイプのヘルプマークをもらうには、全国各地の市区町村の福祉課窓口や障害福祉センター(一部地域を除く)、東京都であれば駅の駅務室、バスの営業所などで取り扱っておりますので、そこで入手することができます。
また、配布場所に取りに行くことが困難な場合は、郵送での対応をしている地域もありますので、お問い合わせください。
なお、ヘルプマークは対象の方またはその代理人(家族や支援者など)からの口頭による申し出により、お一人様一つまでの配布となっています。
ヘルプマークは自作もできます
ちなみに、ヘルプマークはガイドラインに従って作成するのであれば、自分で作成し、使用することもできることになっています。
配布場所が遠くて取りに行けない場合や、災害時の緊急を要する場合などには、自作することで周囲に支援や配慮を求めることもできます。
ヘルプマークの悪用など、問題点とは?
ヘルプマークの悪用問題
また、ヘルプマークは障害者手帳の有無や、書類などの提出の必要がなく簡単に入手できます。
そのため、ヘルプマークを大量に入手し、転売したり、体が不自由でもない健常者がヘルプマークを利用するなど、悪用されるケースもあるようです。
今後、認知度が上がり、全国各地に普及していった場合には、入手時の申請・審査などが必要になる可能性があります。
障害が周囲に明らかになるのに抵抗がある
ヘルプマークは周囲に知らせることが目的のため、どうしても目立つのが特徴です。
しかし、自分の障害が周囲に明らかになるのに抵抗がある方もいます。
そういった場合は、普段はカバンの中にしまっておいて、必要な時にだけ取り付けるようにすることもできます。
認知度がまだ低く、今後も啓発が必要
ヘルプマークは現在、お住いの役所福祉課など全国各地で入手することが可能です。
しかし、都心と比べると、車社会の地方ではまだまだ認知度が低いのが現状です。
ヘルプマークは、電車内で利用する以外でも、社会のあらゆる場面で役立ちます。
マークの認知度、それと同時に対応方法も、多くの方に知っていただきたいものです。
まとめ
徐々に全国各地に浸透しつつあるヘルプマーク、しっかりと理解することができましたか?
また、SNSでも話題になったのが、ヘルプマークの色を緑色にすることで「協力が必要なときは声をかけて」の意味を示す、逆ヘルプマーク。
小学生が考案したとのことですが、そういった協力的な意思を持つ人は世の中にたくさんいます。
そんな良心的な方々に甘える事も、時にはあってもいいのではないでしょうか?
そして、その心を受け取って、いつか自分が他の人へと受け渡す、そんな流れができるといいですよね。