障害者総合支援法におけるサービスとは?利用の流れと負担額も解説




 

障害者の自立や社会生活を支援するための、「障害者総合支援法」をしっかりと把握していますか?

 

今回はこの法律で受けられるサービスの種類利用方法、また、利用時の自己負担額についてもまとめていこうと思います。

対象となる障害当事者やそのご家族の方は是非目を通してみてください。

 

 

障害者総合支援法の簡単な説明は、こちらの記事をご覧ください。▼

障害者総合支援法とは?サービス利用の流れや改正点などまとめ

2020.06.27

 

 

利用できるサービスの種類は?

 

障害者総合支援法での支援は自立支援給付地域生活支援事業で構成されています。

 

自立支援給付

 

自立支援給付とは障害者が自立するために利用する障害福祉サービスの費用を、行政が給付し支援するものです。

自立支援給付による障害福祉サービスは、介護の支援を受ける場合には「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」に位置づけられ、その他、相談支援自立支援医療補装具の支給などの種類があります。

 

介護給付

居宅介護(ホームヘルプ) 自宅で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。
重度訪問介護 重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により、行動上著しい困難を有する人で常に介護を必要とする人に、自宅で、入浴、排せつ、食事の介護、外出時における移動支援などを総合的に行います。
同行援護 視覚障害により、移動に著しい困難を有する人に、移動に必要な情報の提供(代筆・代読を含む)、移動の援護等の外出支援を行います。
行動援護 自己判断能力が制限されている人が行動するときに、危険を回避するために必要な支援や外出支援を行います。
重度障害者等包括支援 介護の必要性がとても高い人に、居宅介護等複数のサービスを包括的に行います。
短期入所(ショートステイ) 自宅で介護する人が病気の場合などに、短期間、夜間も含め施設で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。
療養介護 医療と常時介護を必要とする人に、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、介護及び日常生活の支援を行います。
生活介護 常に介護を必要とする人に、昼間、入浴、排せつ、食事の介護等を行うとともに、創作的活動又は生産活動の機会を提供します。
障害者支援施設での夜間ケア等 (施設入所支援) 施設に入所する人に、夜間や休日、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。

 

訓練等給付

自立訓練 自立した日常生活又は社会生活ができるよう、一定期間、身体機能又は生活能力の向上のために必要な訓練を行います。機能訓練と生活訓練があります。
就労移行支援 一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。
就労継続支援 (A型=雇用型、B型=非雇用型) 一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。雇用契約を結ぶA型と、雇用契約を結ばないB型があります。
就労定着支援 一般就労に移行した人に、就労に伴う生活面の課題に対応するための支援を行います。
自立生活援助 一人暮らしに必要な理解力・生活力等を補うため、定期的な居宅訪問や随時の対応により日常生活における課題を把握し、必要な支援を行います。
共同生活援助 (グループホーム) 共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を行います。
また、入浴、排せつ、食事の介護等の必要性が認定されている方には介護サービスも提供します。さらに、グループホームを退居し、一般住宅等への移行を目指す人のためにサテライト型住居があります。

 

相談支援

計画相談支援
サービス利用支援:障害福祉サービス等の申請に係る支給決定前に、サービス等利用計画案を作成し、支給決定後に、サービス事業者等との連絡調整等を行うとともに、サービス等利用計画の作成を行います。
継続サービス利用支援:支給決定されたサービス等の利用状況の検証(モニタリング)を行い、サービス事業者等との連絡調整などを行います。
地域相談支援
地域移行支援:障害者支援施設、精神科病院、保護施設、矯正施設等を退所する障害者、児童福祉施設を利用する18歳以上の者等を対象として、地域移行支援計画の作成、相談による不安解消、外出への同行支援、住居確保、関係機関との調整等を行います。
地域定着支援:居宅において単身で生活している障害者等を対象に常時の連絡体制を確保し、緊急時には必要な支援を行います。
障害児相談支援 障害児支援利用援助:障害児通所支援の申請に係る支給決定前に、障害児支援利用計画案を作成し、支給決定後に、サービス事業者等との連絡調整等を行うとともに、障害児支援利用計画の作成を行います。
継続障害児支援利用援助:支給決定されたサービス等の利用状況の検証(モニタリング)を行い、サービス事業者等との連絡調整などを行います。

 

自立支援医療

自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度で、次の3つに分けられます。

対象者
精神通院医療 精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者
更生医療 身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)
育成医療 身体に障害を有する児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳未満)

 

補装具費の支給

障害者が日常生活を送る上で必要な補装具の、購入または修理に必要な費用の一定額を支給する制度です。

補装具費支給制度について詳しくはこちらの記事をご覧ください。▼

補装具費の補助とは?基準額や耐用年数、申請方法などまとめ

2020.06.06

 

 

地域生活支援事業

 

地域生活支援事業とは、都道府県や市区町村が主体となって、地域の特性や利用者の状況に応じ柔軟に実施する事業です

地域生活支援事業の中には、市区町村が主体の事業と、都道府県が主体の事業があります。

利用者負担の方法についても全国一律に定められているものではなく、基本的には事業の実施主体の判断によります。

 

市町村事業

理解促進研修・啓発 障害者に対する理解を深めるための研修や啓発事業を行います。
自発的活動支援 障害者やその家族、地域住民等が自発的に行う活動を支援します。
相談支援 相談支援:障害のある人、その保護者、介護者などからの相談に応じ、必要な 情報提供等の支援を行うとともに、虐待の防止や権利擁護のため に必要な援助を行います。また、(自立支援)協議会を設置し、地域の相談支援体制やネットワークの構築を行います。
基幹相談支援センター等の機能強化:地域における相談支援の中核的役割を担う機関として、総合的な相談業務の実施や地域の相談体制の強化の取り組み等を行います。
成年後見制度利用支援 補助を受けなければ成年後見制度の利用が困難である人を対象に、費用を助成します。
成年後見制度法人後見支援 市民後見人を活用した法人後見を支援するための研修等を行います。
意思疎通支援 聴覚、言語機能、音声機能、視覚等の障害のため、意思疎通を図ることに支障がある人とその他の人の意思疎通を仲介するために、手話通訳や要約筆記、点訳等を行う者の派遣などを行います。
日常生活用具の給付又は貸与 障害のある人等に対し、自立生活支援用具等日常生活用具の給付又は貸与を行います。
手話奉仕員養成研修 手話で意思疎通支援を行う者を養成します。
移動支援 屋外での移動が困難な障害のある人について、外出のための支援を行います。
地域活動支援センター 障害のある人が通い、創作的活動又は生産活動の提供、社会との交流の促進等の便宜を図ります。
その他の日常生活又は社会生活支援 市町村の判断により、基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むために必要な事業を行います。たとえば、福祉ホームの運営、訪問入浴サービス、日中一時支援があります。

 

都道府県事業

専門性の高い相談支援 発達障害、高次脳機能障害など専門性の高い相談について、必要な情報提供等を行います。
広域的な支援 都道府県相談支援体制整備事業や精神障害者地域生活支援広域調整等事業など、市町村域を超える広域的な支援が必要な事業を行います。
専門性の高い 意思疎通支援を 行う者の養成・派遣 意思疎通支援を行う者のうち、特に専門性の高い者の養成、又は派遣する事業を行います。(手話通訳者、要約筆記者、触手話及び指点字を行う者等の養成又は派遣を想定)
意思疎通支援を行う者の派遣に係る連絡調整 手話通訳者、要約筆記者、触手話及び指点字を行う者の派遣に係る市町村相互間の連絡調整を行います。
その他(研修事業を含む) 都道府県の判断により、基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むために必要な事業を行います。たとえば、オストメイト社会適応訓練、音声機能障害者発声訓練、発達障害者支援体制整備などがあります。また、サービス・相談支援者、指導者などへの研修事業等を行います。

 

日常生活用具給付等事業とは?その仕組みをわかりやすく解説

2019.07.03

 

障害児を対象としたサービス

 

障害児を対象とするサービスは、都道府県における「障害児入所支援」、市町村における「障害児通所支援」があります。

 

障害児入所支援(都道府県)

福祉型障害児入所施設 施設に入所している障害児に対して、保護、日常生活の指導及び知識技能の付与を行います。
医療型障害児入所施設 施設に入所又は指定医療機関に入院している障害児に対して、保護、日常生活の指導及び知識技能の付与並びに治療を行います。

 

障害児通所支援(市町村)

児童発達支援 児童福祉施設として位置づけられる児童発達支援センターと児童発達支援事業の2類型に大別されます。様々な障害があっても身近な地域で適切な支援が受けられます。
①児童発達支援センター/医療型児童発達支援センター
通所支援のほか、身近な地域の障害児支援の拠点として、「地域で生活する障害児や家族への支援」、「地域の障害児を預かる施設に対する支援」を実施するなどの地域支援を実施します。医療の提供の有無によって、「児童発達支援センター」と「医療型児童発達支援センター」に分かれます。
②児童発達支援事業
通所利用の未就学の障害児に対する支援を行う身近な療育の場です。
医療型児童発達支援
放課後等デイサービス 学校就学中の障害児に対して、放課後や夏休み等の長期休暇中において、生活能力向上のための訓練等を継続的に提供します。学校教育と相まって障害児の自立を促進するとともに、放課後等の居場所づくりを推進します。
居宅訪問型児童発達支援 重度の障害等により外出が著しく困難な障害児の居宅を訪問して発達支援を行います。
保育所等訪問支援 保育所等(※)を現在利用中の障害児、今後利用する予定の障害児に対して、訪問により、保育所等における集団生活の適応のための専門的な支援を提供し、保育所等の安定した利用を促進します。2018(平成30)年4月の改正により、乳児院・児童養護施設に入所している障害児も対象として追加されました。

 

 

参考:全国社会福祉協議会「障害者総合支援法のサービス利用説明パンフレット」

 

障害者差別解消法とは?わかりやすく簡単にまとめてみました

2019.10.18

 

サービス利用の手続きについて

 

サービス利用の流れ

 

1、受付・申請

サービスの利用を希望する方は市町村の窓口に申請し、介護給付を受ける方は障害支援区分の認定を受けます。

2、サービス等利用計画案の作成

利用者は指定特定相談支援事業所サービス等利用計画案を作成してもらい、市町村に提出します。

3、支給決定

市町村は、提出された計画案や勘案すべき事項を踏まえ、支給決定します。

4、サービス担当者会議

指定特定相談支援事業所は、支給決定された後にサービス担当者会議を開催します。

5、支給決定時のサービス等利用計画の作成

サービス事業者等との連絡調整を行い、実際に利用するサービス等利用計画を作成します。

6、サービス利用の開始

サービス利用が開始されます。

7、支給決定後のサービス等利用計画の見直し

一定期間ごとにモニタリングを行い、サービス等利用計画を見直します。

 

 

障害支援区分とは?

 

障害支援区分とは、障害の状態に応じて必要とされる支援の度合いを表す6段階の区分です。

利用者に調査を行い、その結果と医師の意見書の内容を総合的に勘案した審査判定が行われ、市町村が認定します。

 

調査項目は、

①移動や動作等に関連する項目(12項目)
②身の回りの世話や日常生活等に関連する項目(16項目)
③意思疎通等に関連する項目(6項目)
④行動障害に関連する項目(34項目)
⑤特別な医療に関連する項目(12項目)

の80項目。

 

必要とされる支援の度合いに応じて適切なサービスが利用できるように導入されています。

 

 

利用者負担の仕組み

 

利用者負担はサービス量と所得に着目した負担の仕組みとされ、その負担は所得等に配慮した負担 (応能負担)となっています。

 

障害者の利用者負担上限額

 

障害福祉サービスの自己負担は、所得に応じて次の4区分の負担上限月額が設定され、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じません。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯※1 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円(※2)未満)
入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム 利用者を除きます(※3)
9,300円
一般2 上記以外 37,200円

※1、3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯。
※2、収入が概ね600万円以下の世帯。
※3、入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。

 

また、所得を判断する際は、障害のある方とその配偶者が世帯の範囲となります。

 

 

障害児の利用者負担上限額

 

障害福祉サービスの自己負担は、所得に応じて次の4区分の負担上限月額が設定され、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じません。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯※1 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割28万円未満※) 通所施設、ホームヘルプ利用の場合 4,600円
入所施設利用の場合 9,300円
一般2 上記以外 37,200円

※収入が概ね890万円以下の世帯が対象となります。

 

また、所得を判断する際は、保護者の属する住民基本台帳での世帯が範囲となります。

 

 

自立支援医療の自己負担額

 

利用者負担が過大なものとならないよう、所得に応じて1月当たりの負担額が設定されています。(これに満たない場合は1割)

所得区分 更生医療・ 精神通院医療 育成医療 重度かつ継続
一定所得以上 対象外 対象外 20,000円
中間所得 中間所得2 医療保険の高額療養費 10,000円 10,000円
中間所得1 5,000円 5,000円
低所得2 5,000円 5,000円 5,000円
低所得1 2,500円 2,500円 2,500円
生活保護 0円 0円 0円

 

一定所得以上:市町村民税235,000円以上
中間所得2:市町村民税 33,000円以上235,000円未満
中間所得1:市町村民税課税以 上33,000円未満
低所得2:市町村民税非課税 (本人収入が800,001円以上)
低所得1:市町村民税非課税 (本人収入が800,000円以下)
生活保護:生活保護世帯

 

 

補装具費の自己負担額

 

補装具費支給制度の利用者負担は、所得等に配慮した負担となっており、世帯の所得に応じて次の区分の負担上限月額が設定されます。

 

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般 市町村民税課税世帯 37,200円

 

補装具費支給制度についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。▼

補装具費の補助とは?基準額や耐用年数、申請方法などまとめ

2020.06.06

 

まとめ

 

障害者総合支援法では様々なサービスがあり、積極的に活用することで生活の質の向上にもつながります。

自己負担額なども家計に配慮され、助かる制度ですので、曖昧にではなくしっかりと把握しておきたいですね。

 

 




この記事が気に入ったらシェアをお願いします


車椅子での生活や自立に役立つアイテムを紹介しています!

障害で体が不自由であったり、車椅子を利用していると、自立した生活を送るのに苦労しますよね。
そんな方に、これまでブログで紹介してきた、おすすめのアイテムをまとめて紹介します▼