車椅子ユーザーが自走で登りきれるスロープの角度、勾配とは?




 

「こんな角度のスロープ登れるわけないわ!」

 

外出先で車椅子ユーザー当事者がよく遭遇する一コマ。

 

まだ多くのスロープ介助者がいる前提で作られていて、角度が急なので結局だれか人の手を借りてスロープを登り切らなければならない。

せっかくスロープを作るんだったら普段、自走で車椅子に乗っている人も対象に、一人でも登りきれる作りにして欲しいものです。

まあ、後からスロープを設置する時はスペースの問題で難しい場合もあるとは思うけど。

 

それでは車椅子ユーザーが自走で登りきれるスロープの角度は具体的にどのくらいなのだろう?

今回はそんなことをテーマに書いていこうと思います。

 

自走で登りきれるのは1/12勾配以下

1/12勾配

1/12勾配であれば、普段車椅子を自走していて、一人で買い物などができるアクティブな人なら登りきれるでしょう。

1/12勾配とは垂直面が1mとすると、水平面が12m必要になる勾配です。

角度でいうと約4.8度

 

例えば、自宅の駐車場から玄関までの高低差が、1mはないにしても50cmくらいはあるところが多いと思います。

すると、1mの半分の50cmですから、1/12勾配でスロープを作るなら6mの長さが必要だということになります。

 

さらに、車椅子のは標準で610mmほどなので、プラス左右に余裕を持たせようとすると1m以上は欲しいところです。

となると例のように駐車場から玄関までスロープを設置するなら、6m x 1m以上のスペースが必要だということになります。

 

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1/8勾配

1/8勾配となると一般の車椅子ユーザーは自走で登りきる事ができません。

登りきれるのは両手が自由に動かせるアスリートレベルの人ぐらい。

角度でいうと約7.1度です。

 

この1/8勾配は、介助を前提としたスロープだという事が言えます。

図で見るとそこまで急な勾配ではないように感じますが、実際に車椅子に乗ってこの勾配を登ろうとすると、途中で登りきれずに力尽きてしまいます。

 

急な勾配のスロープが危険なのは、自走で挑戦して途中で力尽きた場合に勢いよく後退してしまうこと。

後ろにひっくりかえって後頭部を打つ可能性もあるし、他の人を巻き込む事故にもなりかねないのでたいへん危険です。

 

バリアフリー新法について

 

スロープの勾配については「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」通称バリアフリー新法でも定められています。

 

その中で「段差はスロープとし、1/12勾配以下とする(16cm以下の段差の場合は1/8以下)」とあり、法律上でも1/12勾配以下と決められているようです。

ただし、対象建築物には適合させる義務があるものと、そうではない努力義務の範囲で抑えているものがあります。

 

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スロープを設置できない時の対処法

出典 大邦機電

 

スペースの確保ができなかったり様々な事情によって、スロープが設置できないことがあると思います。

そんな時の二つの対処法を紹介します。

 

段差解消機

 

スロープを設置するほどのスペースは確保出来ないけど、ある程度予算がある場合なら、電動の段差解消機がおすすめです。

価格は50万円〜。

屋外用、屋内用、さらに床に埋め込めるタイプや、高さも1m以上の高さまで対応できるものもあるので、環境に応じて選択する事ができます。

 

自宅の玄関に設置して住居内に上がる段差を解消したり、部屋の窓から住居内に侵入できるように屋外に設置し段差を解消することもできます。

 

人の手を利用する

 

最終手段として予算もスペースもない場合は、人の力で段差を乗り越えるしかありません。

 

手動の車椅子なら10cmくらいの1段2段の段差なら介助方法を覚えておけば一人の介助で乗り越える事が出来ます。

それ以上の階段なら3人、長い2階に上がるほどの階段なら4人の介助は必要です。

あくまでも軽い手動車椅子の場合なので、電動車椅子の場合、重さによってその1.5倍の人数の介助が必要な場合があります。

 

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最後に

 

スロープの勾配は法律では定められているものの、建物によってそれが義務であったり、努力義務であったり。

バリアフリー新法ができる以前に建てられた建物もあるわけで、まだ車椅子ユーザーが自走で登りきる事が出来ないスロープは世の中にたくさんあります。

 

しかもスロープがそもそも無い建物だってあるので、車椅子ユーザーはかなり行動を制限されているんですよね。

 

もちろん緩やかなスロープが増えていく事も必要ですが、全てがそのようにできるわけでは無いので最終的には人の手が必要になると思います。

 

困った人を見つけたら声をかけたり、車椅子利用者も気軽に手助けを求められるような、一人一人心の余裕がある世の中になってほしいですね。