車椅子で生活していると「あれ、幅が狭くて通れない!」っていうこと度々あるんですよね。
例えば、店の入り口が狭くてそもそも入れないとか。
店の中の通路が狭くて車椅子では欲しい商品までたどり着かないとか。
飲食店では小規模なところが多いので、通れないって事はよくあります。
できれば様々なタイプの顧客がいる場合、車椅子の人も快適にサービスが受けられるような環境にして欲しいものです。
そこで今回は、建築関係の人や、飲食店等、店舗を構えている人に知って欲しい、車椅子の幅について書いていこうと思います。
一般的な車椅子の幅とは?
手動車椅子の幅
日本工業規格、JIS(Japanese Industrial Standards)では手動車椅子の幅は610mmとなっています。
ちなみにJISで定められている他の寸法は全長が1050mm、全高が880mm。
ただ、あくまでもこれは標準で、実際に僕の手動車椅子の幅はハンドリムも合わせて650mmほどありました。
もちろんもっと体の大きな人はいるので、そうゆう人の車椅子は幅も全長も長くなるはずです。
電動車椅子の幅
日本工業規格、JISでは電動車椅子の幅は700mmとなっています。
他の寸法は全長が1200mm、全高が1090mm。
電動車椅子の場合、幅もそうですがリクライニング機能などのために全長がもっと長くなる傾向があります。
国際的な標準値は?
ISO(国際標準化機構 : International Organization for Standardization)によると、手動及び電動車椅子の幅は700mmとなっています。
ちなみに他の寸法は全長が1200mm、全高は1090mm。
日本の電動車椅子の値と変わらないようです。
車椅子が通れる廊下の幅はどれくらい?
車椅子の幅だけ取っておけば通れるというわけではなくて、当事者が車輪についているハンドリムを手で操作することを考えて、その幅も確保しなくてはいけません。
すると650mmの幅の車椅子の場合、両側に50mmの手のスペースを設けて、最低750mmの幅が必要になるということになります。
また、曲がり角がある場合は最低幅1000mmを確保しておかなければ曲がりきる事は難しいでしょう。
車椅子で利用しづらいドアやトイレなどの例
いくら車椅子が通れる幅であっても、思わぬところで邪魔をして通ることができないことがあります。
例を挙げてみましょう。
ドアが最後まで開かない
引き戸の場合、何かにぶつかって最後まで開ききらず、車椅子が通れる幅まで達することが出来ない。
入口に物を置いている場合によくある。
開き戸の場合も同じ、扉の裏に荷物など置いていて開ききらないと、車椅子が通れない。
引き戸が開けても戻ってくる
引き戸を開けると自動で戻ってきて閉まるような扉はかなり通りづらい。
重い扉を開ける場合は車椅子のブレーキをかけるので、途中まで開けてからブレーキを外して中に入ろうとすると、ブレーキを外している間に扉が自動で閉まってしまう。
しかもこのタイプの引き戸は重いタイプが多いので、上肢が弱い車椅子ユーザーは通過することが出来ない。
商品が通路に置いてある
店舗の通路に商品を補充するために置いてある、または特設のおすすめコーナーなどで通過出来ない。
椅子を引いたときのことを想定していない
飲食店等で顧客が椅子を引いて着席した時の幅を考えていない。
結局、「すいません。」と頭を下げながら椅子を戻してもらって、車椅子ユーザーは通過する。
トイレのおむつ交換台が下がったまま
多目的トイレで、前に利用した人がおむつ交換台を下げたまま。
結構なスペースを取るので車椅子が通れる十分な幅が確保できない。
車椅子ユーザーで腕力が弱ければおむつ交換台を自力で戻す事が出来ない。
ついついうっかり、急いでいたりした時に忘れる場合もあるのかもしれない。
それこそ利用し終わった後は自動で戻るようにしたらどうだろう。
最後に
車椅子利用者は、健常者より明らかに幅を取ってしまうので、それによって生活が不便になってしまいます。
これから高齢化に伴い、お年寄りの車椅子利用者も多くなるでしょう。
車椅子ユーザー当事者の他にも、その家族友人も一緒に気軽に外出ができるように、環境を整えていきたいですね。