療育手帳について詳しくご存知ですか?
手帳を取得する事で様々なサービスが受けられますし、今の生活の不自由を改善する事が出来る大切なものなので、しっかりと把握しておきたいですよね。
そこで今回は、療育手帳の申請の流れや取得するメリットなどを詳しくまとめました。
手帳の申請を検討されている方、または所持していて詳しく知りたい方は是非目を通してみてください。
療育手帳とは?
療育手帳の目的
「療育手帳」とは知的障害児(者)を支援するための障害者手帳です。
知的障害児(者)に一貫した指導・相談を行い、様々な制度やサービスを利用しやすくすることを目的としています。
療育手帳は地域によって基準が違う
療育手帳は身体障害者手帳や、精神障害者保健福祉手帳と異なり、国ではなく各都道府県や政令指定都市で実施されているので、地域によって基準にばらつきがあります。
例えば、名称も「療育手帳」の他にも各都道府県によって違う場合があります。
青森県:愛護手帳
東京都:愛の手帳
さいたま市:みどりの手帳 など
療育手帳を取得するメリット
医療費の助成が受けられる
心身障害者医療費の助成
健康保険証を使って病院、診療所などでかかった医療費の自己負担金に対してその自己負担金の一部または全額を助成。(地域により異なります)
自立支援医療費
障害を軽減する治療等を、指定自立支援医療機関で受ける場合の公費負担制度。
費用の1割が自己負担となります。(所得に応じた自己負担上限額あり)
障害者雇用で就労できる
国や地方公共団体、事業主に対して、一定率以上の障害者を雇用する義務が法律で課せられています。
療育手帳を持っていると就職を目指すとき、一般採用だけでなくこういった障害者雇用での募集にも応募できるので有利です。
税金が軽減される
自動車税、自動車取得税、軽自動車税の減免
障害者本人が所有・運転する自動車、または障害者と生計を一にする方が所有している自動車を、通院・通学等のために使用する場合、税金の減免を受けることができます。(都道府県によって減免額は異なります)
所得税、および市民税、県民税の控除
療育手帳をお持ちの方、またその親族の方は、年末調整や確定申告時に手帳を提示することによって、税金の所得控除(障害者控除)を受けることができます。
相続税の控除
相続人が85歳未満の障害者である場合、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者のときは20万円)が障害者控除として、相続税額から差し引かれます。
贈与税の非課税
特定障害者(※)の方の生活費などに充てるために、一定の信託契約に基づいて特定障害者の方を受益者とする財産の信託があったときは、その信託受益権の価額のうち、特別障害者である特定障害者の方については6,000万円まで、特別障害者以外の特定障害者の方については3,000万円まで贈与税がかかりません。
※特定障害者とは、①特別障害者及び②障害者のうち精神に障害がある方をいいます。
参考:国税庁 障害者と税
障害福祉サービスが受けられる
障害福祉サービスでは、日常生活に必要な介護の支援や、自立した生活に必要な訓練や、就労に向けた機会の提供等の支援を受けられます。
訪問系サービス:在宅等で訪問を受けたり、外出時の支援等をするサービス
日中活動系サービス:施設などで昼間の活動を支援するサービス
居宅系サービス:入所施設などで住まいの場としての支援をするサービス
障害児通所サービス:18歳未満の障害児が施設に通所し、障害に応じた指導や訓練を受けられます
運転免許取得費の助成
障害者が、就労等のために普通免許を取得した場合、免許取得に要した費用について助成金を交付。(助成額は地域により異なります)
例、東京都江戸川区の場合:実支出額の2/3、上限20万円まで
NHK放送受信料の免除
全額免除
身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳いずれかの手帳所持者がいる世帯構成員全員が市民税非課税の場合
半額免除
次のいずれかに該当する手帳所持者が世帯主かつNHKの契約者である場合
① 視覚障がい、聴覚障がい ② ①以外の身体障害者手帳の障害等級が1級・2級 ③ 療育手帳の障がい程度A ④ 精神障害者保健福祉手帳の障害等級が1級
療育手帳と障害年金の関係について
療育手帳と障害年金はそれぞれ別の制度です。
等級の判定基準も違いますので、療育手帳と障害年金の等級が一致するとは限りません。
ちなみに、療育手帳を取得する際に年齢制限はありませんが、障害年金の場合、受給できるようになる年齢は20歳からとなります。
年金額など、障害年金に関してはこちらの記事をご覧ください▼
療育手帳で受けられる割引
携帯電話料金の割引
各社それぞれ名称が異なりますが、障害者手帳を所持していると割引を受ける事が出来ます。
基本料金の他にも様々な割引を受けることが出来ますので、詳しくはそれぞれのサイトで確認してください。
飛行機チケットの割引
割引率はJALとANAで普通運賃の約40%割引となっていますが、他の航空会社は15~40%割引と航空会社によってばらつきがあります。
そしてLCC(格安航空会社)はそもそも障害者割引を実施していない場合があるので注意が必要です。
また、残念ながら国際線には障害者割引は無いようです。
バス運賃の割引
路線バス
路線バスは1種2種関わらず、障害者本人と介護者の普通運賃が50%割引、定期券が30%割引を実施しているバス会社が多いようです。
高速バス
多くのバス会社で普通運賃50%割引を適用しています。詳しくはそれぞれのバス会社に問い合わせてください。
JR運賃の割引
第1種障害者とその介護者は普通乗車券、回数乗車券、普通急行券、定期乗車券が50%割引
12歳未満の障害者とその介護者は定期乗車券(小児定期乗車券を除きます)が50%割引
第1種、第2種障害者が単独でご利用になる場合は普通乗車券が50%割引(片道100kmを超える場合)
有料道路の割引
障害者本人以外の方が運転し障害者本人が同乗される場合、療育手帳の交付を受けている方のうち、重度の障がいをお持ちの方が対象で50%割引。
タクシー料金の割引
通常料金から10%割引。
対象者は身体障害者手帳または療育手帳を所持している方で乗車時に手帳を提示するだけで割引を受けられます。(登録などの必要はありません)
ただ、割引を実施していないタクシー会社や、運転手によって障害者割引を知らない場合があるので注意してください。
詳しくはそれぞれのタクシー会社に問い合わせてください。
船、フェリーの割引
基本運賃の50%割引。
対象者はそれぞれのフェリー会社によって違いますので、詳しくは直接問い合わせてみてください。
割引が効くホテルはあるの?
大手ビジネスホテルチェーンなど、多くのホテルや宿泊施設では障害者割引を実施していません。
ただし、車椅子に対応したバリアフリールームなどは、近年、多くのホテルで設置されています。
その他、商業施設などの割引
- 映画館チケットの割引
- 水族館入館料の割引
- 東京スカイツリー入場券の割引
- ユニバーサルスタジオジャパンのスタジオパスが割引
- ディズニリゾートチケットの割引
など
障害者割引についてはこちらの記事にまとめましたのでご覧ください▼
療育手帳の申請方法
申請に必要なもの
1、申請書
2、顔写真
3、母子手帳
4、印鑑
場合により▼
5、他に取得している手帳(身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳)
6、診療情報提供書、診断書、お薬手帳
7、健康保険証
申請から交付までの流れ
1、市区町村の障害福祉担当窓口へ相談に行く
↓
2、療育手帳取得の申請をし、障害程度の判定を受けるための予約をとる
↓
3、児童相談所(18歳未満)または更生相談所(18歳以上)で面接、聞き取りなどで審査を受ける
↓
4、判定結果に基づき、程度区分が決定される
↓
5、郵送等で結果が通知され、療育手帳を受け取る
療育手帳が手元に届くまでの期間は、申請から約2、3ヶ月を要します。
療育手帳を取得出来る年齢は?大人でもOK?
療育手帳の申請で年齢制限はありません。
子供が大きくなり、知的障害がわかった時点で申請出来ます。
また、稀にですが大人になってから初めて申請し、交付されるケースもあるようです。
療育手帳の等級(程度)と判定基準
療育手帳は先に述べた通り、各都道府県や政令指定都市で実施されているので、判定基準や障害等級(程度)の区分も違いがあります。
ただ、厚生労働省からの通知によると、「重度の区分」と「その他の区分」に分けるように指導されているようです。
また、それ以外にも「中程度の区分」を設けても差し支え無いとされています。
重度の判定基準
・知能指数(IQ)がおおむね35以下で、日常生活において常時介護を要する程度の方
・肢体不自由、盲、ろうあ等の障害を有し、知能指数(IQ)がおおむね50以下で、 日常生活において常時介護を要する程度の方
その他の判定基準
上記以外
各都道府県の例
東京都
1度(最重度)、2度(重度)、3度(中度)、4度(軽度)
大阪府
A(重度)、B1(中度)、B2(軽度)
福岡県
A1(最重度)、A2(重度)、A3(重度合併)、B1(中度)、B2(軽度)
愛知県
A判定(重度)、B判定(中度)、C判定(軽度)
等級(程度)と判定基準について詳しくはこちらの記事をご覧ください▼
療育手帳には程度の区分の他に、主にJR運賃の割引を受ける際に必要になる、「第1種」と「第2種」という区分があります。
詳しくはこちらをご覧ください▼
療育手帳を取得するデメリット
療育手帳を取得することでデメリットにあたることは特にありません。
療育手帳を申請するのは障害を認めることになるので、一歩踏み出しにくい場合もあります。
しかし、取得してから様々なサービスを受けることで生活の不自由が改善されるので、ぜひ取得することをお勧めします。
更新手続きもお忘れなく
療育手帳の交付を受けた方は障害の程度を確認するために、期間を置いて何年かに一度、再度判定を受ける必要があります。
原則として2年後に再判定を受けることとされていますが、年齢や障害の状況から見て2年を超える期間を置いて判定する場合もあります。
療育手帳内に次期判定年月日が記載されていますので、期限内に再判定申請書を提出して手続きを行ってください。
療育手帳の更新については他の記事で詳しくまとめましたので、そちらをご覧ください。▼