補装具費の補助とは?基準額や耐用年数、申請方法などまとめ




 

車椅子や義肢、補聴器などを購入する時に、一定の費用を支給してくれる補装具費支給制度

皆さんは詳しく知っていますか?

 

身体障害者ならこれから長くお世話になる制度だと思いますので、しっかり覚えておきたいですよね。

 

今回は補装具費支給事務ガイドブックなどを参考に、できるだけわかりやすくまとめましたので、対象になる方は是非目を通してみてください。

 

 

補装具とは?

 

補装具とは?

 

補装具とは、身体障害者、身体障害児、そして難病患者等の失われた身体機能を補完又は代替する用具で、身体障害者の職業その他、日常生活の能率の向上を図ることを目的として使用されるものです。

 

 

補装具費支給制度とは?

 

障害者が日常生活を送る上で必要な補装具の、購入または修理に必要な費用の一定額を支給する制度です。

補装具費支給制度は障害者総合支援法によって定められています。

 

 

障害者総合支援法とは?

 

障害者総合支援法は、障害の有無にかかわらず、誰もが安心して暮らせる社会の実現を目指すという方向性を規定したもので、障害者自立支援法を抜本的に改正、平成25年4月から施行しています。(正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)

障害者総合支援法では身体障害、知的障害、精神障害の3障害に加えて、一定の難病の患者も対象に加わりました。

 

 

補装具の種類

 

身体障害者・身体障害児共通

義肢 装具 座位保持装置 盲人安全つえ 義眼 眼鏡 補聴器 車椅子 電動車椅子 歩行器 歩行補助つえ(T字状・棒状のものを除く) 重度障害者用意思伝達装置

 

身体障害児のみ

座位保持椅子 起立保持具 頭部保持具 排便補助具

 

 

補装具と日常生活用具の違い

 

補装具費支給制度とは別に日常生活用具給付等事業というものがあります。

日常生活用具給付等事業について詳しくは、こちらの記事をご覧ください▼

日常生活用具給付等事業とは?その仕組みをわかりやすく解説

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自己負担額と公費負担額はいくら?

 

自己負担額(利用者負担)

 

原則定率1割負担。世帯の所得により、以下の負担上限月額を設定。

・市町村民税課税世帯:37,200円
・市町村民税非課税世帯:0円
・生活保護世帯に属するもの:0円

 

 

公費負担額

 

補装具の購入又は修理にかかった費用の額(基準額)から利用者負担額(原則1割)を引いた額を補装具費とし、この補装具費について以下の割合により負担します。

負担割合  国:50/100  都道府県:25/100  市町村:25/100

 

 

基準額を超えた場合の差額自己負担について

 

補装具について、その種目、名称、型式、基本構造等は支給要件を満たすものであるが、使用者本人が希望するデザイン、素材等を選択することにより基準額を超える場合は、差額を本人が負担しなければいけません。

 

障害者手帳を所持するメリットとデメリットを詳しく解説

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補装具の基準額とは?

 

基準額とは?

 

補装具にはそれぞれ上限の価格としての購入基準額が定められており、それを超えた場合、差額を本人が負担することになっています。

 

 

主な補装具の基準額一覧

 

種類 基準額(円)
盲人安全つえ(普通用) 繊維複合材料 3,550
木材 1,650
軽金属 2,200
盲人安全つえ(携帯用) 繊維複合材料 4,400
木材 3,700
軽金属 3,550
身体支持併用 3,800
義眼 レディメイド 17,000
オーダーメイド 82,500
眼鏡 矯正用 6D未満 17,600
矯正用 6D以上10D未満 20,200
矯正用 10D以上20D未満 24,000
矯正用 20D以上 24,000
遮光用 21,500
コンタクトレンズ 15,400
弱視用 掛けめがね式 36,700
弱視用 焦点調整式 17,900
補聴器 高度難聴用ポケット型 34,200
高度難聴用耳かけ型 43,900
重度難聴用ポケット型 55,800
重度難聴用耳かけ型 67,300
耳あな型 レディメイド 87,000
耳あな型 オーダーメイド 137,000
骨導式ポケット型 70,100
骨導式眼鏡型 120,000
車椅子 普通型 100,000
リクライニング式普通型 120,000
ティルト式普通型 148,000
リクライニング・ティルト式普通型 173,000
手動リフト式普通型 232,000
前方大車輪型 100,000
リクライニング式前方大車輪型 120,000
片手駆動型 117,000
リクライニング式片手駆動型 133,600
レバー駆動型 160,500
手押し型 大車輪 82,700
手押し型 小車輪 81,000
リクライニング式手押し型 114,000
ティルト式手押し型 128,000
リクライニング・ティルト式手押し型 153,000
電動車椅子 普通型 4.5km/h 314,000
普通型 6km/h 329,000
簡易型 切替式 157,500
簡易型 アシスト式 212,500
リクライニング式普通型 343,500
電動リクライニング式普通型 440,000
電動リフト式普通型 701,400
電動ティルト式普通型 580,000
電動リクライニング・ティルト式普通型 982,000
座位保持椅子 24,300
起立保持具 27,400
歩行器 六輪型 63,100
四輪型 腰掛け付 39,600
四輪型 腰掛けなし 39,600
三輪型 34,000
二輪型 27,000
固定型 22,000
交互型 30,000
頭部保持具 7,100
排便補助具 10,000
歩行補助つえ 松葉づえ 木材 3,300
松葉づえ 軽金属普通型 4,000
松葉づえ 軽金属伸縮型 4,500
カナディアン・クラッチ 8,000
ロフストランド・クラッチ 8,000
多点杖 6,600
プラットホーム杖 24,000
重度障害者用意思伝達装置 143,000
簡易な環境制御機能付加 191,000
高度な環境制御機能付加 450,000
生体現象方式 450,000

 

義肢(義手・義足)装具座位保持装置の基準額は種類も多く、複雑になっています。

詳しくはこちらをご参照ください▼

補装具の種目、購入等に要する費用の額の算定等に関する基準

 

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補装具費補助の申請手順

 

購入、修理申請の流れ

 

1、補装具費支給申請

補装具の購入または修理を希望する障害者等は、申請書と医師による意見書を揃え、市町村に補装具費支給の申請を行う。
(身体障害者手帳で必要性が判断できる場合や、再支給、修理申請などの場合は医師による意見書が必要ない場合があります)

2、補装具費支給の判定、決定

申請を受けた市町村は、更生相談所等の判定もしくは市町村の判断により、補装具費の支給を行うことが適切であると認めるときは、補装具費の支給の決定を行う。

3、補装具の引渡し、補装具の購入費支払い

補装具費の支給の決定を受けた障害者等は、事業者から補装具購入のサービス提供を受け

事業者に対し、購入費用を支払う。(償還払方式の場合)

もしくは

事業者に対し、利用者負担額(1割)を支払う。(代理受領方式の場合)

4、補装具費支払いの請求

利用者は市町村に対し、補装具費(基準額-利用者負担額)を請求する。(償還払方式の場合)

もしくは

事業者は市町村に対し、補装具費(基準額-利用者負担額)を請求する。(代理受領方式の場合)

5、補装具費の支給

市町村は、利用者もしくは事業者から補装具費の請求があった時は、補装具費の支給を行う。

 

 

補装具費支給意見書の作成について

 

補装具費支給申請書等により更生相談所が判定する場合、又は市町村が判断のうえ決定する場合は、医師が作成する補装具費支給意見書により判定することとなります。

 

意見書に記載すべき具体的事項

①診断名、②障害名、③医学的所見とくに補装具を必要とする根拠となる所見、④処方する補装具の正式名称、⑤使用目的と見込まれる使用効果、⑥使用環境や使用頻度など製作上の工夫に関係する社会生活要件、⑦具体的な処方内容 など

 

補装具費支給申請書、補装具費支給意見書の様式例はこちら

 

 

補装具費支給の判定について

 

更生相談所が判定する場合

義肢、装具、座位保持装置、電動車椅子は更生相談所が利用者を直接診察する直接判定が推奨され、意見書の必要がないこともあります。

ただし、自治体によっては意見書の情報で更生相談所による文書判定で処理することも。

オーダーメイド車椅子、補聴器、重度障害者用意思伝達装置は文書判定で扱われ、意見書の責任が大きくなります。(直接判定している更生相談所もある)

 

 

市町村の判断で決定する場合

レディメイド車椅子、歩行器、義眼、眼鏡、歩行補助つえ(一本つえを除く)は市町村判断での支給決定が可能。

意見書を求められた場合は、更生相談所のチェックもないため、意見書がさらに重要な支給決定の根拠となります。

 

 

身体障害児の場合

市町村が、身体障害児の補装具費支給に関する判定を行う際には、申請書や補装具費支給意見書により判断を行います。(自治体によっては更生相談所が判定することもある)

また、身体障害者手帳によって身体障害児が補装具の購入または修理が必要と確認できるときは、補装具費支給意見書を省略させることができます。

 

 

更生相談所とは

更生相談所は、都道府県によって設けられ、身体障害者の更生を支援しています。

補装具に関する更生相談所の役割は、専門の立場からみた要否判定と適合判定です。

具体的には、

①来所された障害当事者(補装具使用者)を実際に診察して判定
②主治医などの意見書に基づいて判定
③地域の拠点会場に出向いて判定
④自宅を訪問して判定
など

いずれも障害当事者の社会生活上の便宜を図るため、補装具をより適切に、より早く支給するために行われています。

 

全国の身体障害者更生相談所はこちら

 

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補装具の耐用年数とは?

 

耐用年数って何?

 

耐用年数とは、想定できる通常の状態で使用した場合に、その補装具が修理不能となるまでの予想年数を目安として定めているものです。

個々の障害者の身体状況や補装具の使用頻度や使用環境、作業状況等により、実際の耐用年数には相当の長短があると予想されます。

したがって、補装具の再支給については、耐用年数を経過したことのみの理由で認められるものではなく、部品の交換を行うよりも新たに支給したほうが合理的・効果的である場合に認められます。

 

 

補装具の耐用年数一覧

 

肢体不自由

種類 耐用年数

義肢

 

義手 肩義手 3〜4
上腕義手 3〜4
肘義手 3
前腕義手 3
手義手 3
手部義手 1〜2
手指義手 1〜2
義足 股義足 4
大腿義足 3〜5
膝義足 2〜3
下腿義足 2
果義足 2
足根中足義足 1〜2
足指義足 1
装具


上肢装具 肩装具 3
肘装具 2〜3
手背屈装具 3
長対立装具・短対立装具 3
把持装具 3
MP伸展・屈曲装具 3
指装具 3
B. F. O 3
体幹装具 頸椎装具 2〜3
胸椎装具 1.5〜3
腰椎装具 1.5〜3
仙腸装具 1.5〜3
側弯矯正装具 1〜2
下肢装具 股装具 2〜3
膝装具 2〜3
長下肢装具 3
短下肢装具 1.5〜3
ツイスター 2〜3
靴型装具 1.5
足底装具 1.5
靴の補正 1.5
座位保持装置 3
歩行器 5
歩行補助つえ 2〜4
重度障害者用意思伝達装置 5
車いす・電動車いす 6

 

視覚障害

種類 耐用年数
眼鏡 矯正眼鏡 4
コンタクトレンズ 4
弱視眼鏡
掛けめがね式
焦点調節式(単眼鏡)
4
遮光眼鏡 4
普通義眼
特殊義眼
コンタクト義眼
2
盲人安全つえ普通用、携帯用 2〜5

 

聴覚障害

種類 耐用年数
補聴器 高度難聴用 5
重度難聴用 5
耳あな型 5
骨導式 5
FM 型 (重度難聴用耳掛け型) 5

 

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補装具費の再支給、複数支給について

 

いつ、どのような場合に再支給されるの?

 

再支給の判断

通常、補装具費の再支給は耐用年数を過ぎてから行われます。

しかし、障害状況の変化等で身体に適合しなくなった場合や、著しく破損し修理不能な場合は、耐用年数内でも再支給が可能です。

耐用年数の経過後でも、修理等で継続して使用可能な場合は、再支給の対象になりません。

つまり、耐用年数の経過状況のみで再支給の判断をするのではなく、使用中の補装具の状態を確認して判断することになります。

なお、災害など本人の責任によらない事情により壊れたり、無くなったりした場合は、新たに必要と認める補装具費の支給が可能です。

 

障害状況や社会生活上の状況等に変化のある場合

障害状況や社会生活の状況に合わせて、補装具の名称や型式等を変更しなければならない場合があります。

その場合、更生相談所の再判定(初回支給と同様の判定)を受け再支給が可能な場合がありますので、市町村に相談してください。

 

 

複数支給はどんな場合にされるの?

 

補装具費の支給対象となる補装具の個数は、原則として1種目につき1個ですが、身体障害者・児の障害の状況を勘案し、職業又は教育上、特に必要と認めた場合は、2個目の支給または2個同時の支給を受けることができます。

職業は企業でのフルタイム雇用に限るものではなく、在宅勤務を含む短時間就労など、多様な働き方を意味します。

教育も義務教育に限るものではなく、普通学校への通学だけでなく、通信教育や院内学級、訪問学級、療育等も含まれます。

 

 

補装具費支給事務ガイドブック

今回の記事は補装具費支給事務ガイドブック平成30年度版を参考にしています。

詳細をご覧になりたい方はこちらから

 

 

最後に

 

身体障害者にとって補装具費支給制度は、長く付き合っていかなければいけない大切な制度ですので、しっかりと覚えておきたいですね。

特に修理に関することは頻繁に起こりますし、再支給に関することも条件などをしっかりと把握しておくべきです。

 

制度を理解し活用して、自立や社会参加に積極的に取り組んでいきましょう。

 

 




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